Asset Value Investors Limitedのプレスリリース
報道各位
アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド
支配的な株主による利益相反、なお消えず
子会社の資本効率を大きく阻害
アセット・バリュー・インベスターズ(本社:ロンドン、CEO兼CIO: ジョー・バウエルンフロイント、以下「AVI」)は本日、同社が送った東京ラヂエーター製造株式会社(以下「東ラヂ」、東証二部:証券コード7235)、日鉄ソリューションズ株式会社(以下「NSSOL」、東証一部:証券コード2327)、およびエスケー化研株式会社(以下「エスケー化研」、東証JASDAQ:証券コード4628)への株主提案に対して、3社の反対表明に対して改めて反論したことをお知らせします。なお、AVIは6月末の株主総会シーズンに向けて日本企業7社に株主提案を提出しましたが、そのうち4社については、AVIの提案を全面的または部分的に受け入れたため提案を取り下げました。
指摘しています3社はいずれも支配的な株主が子会社に対して支配力を有しています。東ラヂの株式の40%をKKR傘下のマレリ株式会社(以下「マレリ」)が、NSSOLの株式の63%を日本製鉄株式会社が、エスケー化研の株式の40%を創業家である藤井家が保有しています。
3社との動静を説明しますと、まず東ラヂについては、AVIは同社の40%を保有するKKR傘下のマレリへの預け金約55億円を配当として全ての株主に還元するように提案しました。東ラヂのバランスシートを見ますと時価総額を上回る約99億円の現金を保有しています。これに対する東ラヂの取締役会の反対表明は「マレリへの預け金は、資金の拘束性はなく、またマレリの意向に支配されていない」というものでした。
次に、NSSOLについては、現預金同等物・投資有価証券 約1,450億円を内部留保していることを踏まえ、同社が提案する配当額よりも合計で32億円増の控えめな配当額を提案しました。これに対するNSSOLの取締役会の反対表明は「事業環境の不確実性の高まり」、「将来的な自然災害の発生等の不測の事態」などを理由に挙げています。
そして、エスケー化研については、異常に高い同社の最低売買代金400万円(東証の全上場企業の中で7番目に高い価格)から40万円に引き下げるために、1株につき10株の株式分割を提案しました。これに対して、エスケー化研の取締役会は、株式分割に反対する実質的な理由を一切示さず、即座に提案に反対しました。
さて、こうした3社の反対表明についてAVIは「3社の反対理由は定型的で実質的な内容に欠けている。いずれも利益相反の立場の支配的株主が子会社の取締役会をコントロールした場合に予想される結果となっている」(ジョー・バウエルンフロイントCEO)と印象を語っています。
そのような印象を抱いた根拠について、東ラヂは、「多額の現金を他の会社に預けることは通常の商慣習であり、マレリが同社の株式の40%を保有していることは全くの偶然であると信じさせようとしています」、そして、「多額の現金の内部留保についても同社は数字的根拠を示すことなく、漠然と「自動車業界は大きな変革期であり」、具体的な用途を示さず「不測の事態に備えるため」と主張して正当化しようとしています」(ジョー・バウエルンフロイントCEO)と述べています。
NSSOLは「DXへの投資の必要性」を挙げていますが、中期事業計画においてDX投資に充当している金額はわずか1年あたり20〜30億円程度で、これは年間の売上の1%程度に留まります。AVIはNSSOLに対して、少なくとも500億円規模をDXに投資するように提言しました。以上の点からAVIは改めて「NSSOL側が示す確固とした数字や分析に裏付けられていない曖昧な一般論は、支配的株主の影響下に置かれた経営体質を物語っている」(ジョー・バウエルンフロイントCEO)と捉えています。
エスケー化研については、「藤井家一族が議決権を支配しているために、一般株主からの建設的な提案に対応する必要がないと考えている印象は拭えない」(ジョー・バウエルンフロイントCEO)としています。
最後に、AVIは「水面下での対話を望んでおり、公に株主提案を行うことは最終手段と捉えています。今回より多くの提案を取り下げることができたことは、日本において株主と経営陣の間での前向きな対話が可能であることを示しています」(ジョー・バウエルンフロイントCEO)と語っています。
(添付)AVIの株主提案についての詳細は以下の特設サイトをご参照ください。
東京ラヂエーター製造
https://www.assetvalueinvestors.com/tokyo-radiator/
日鉄ソリューションズ
https://www.assetvalueinvestors.com/taking-ns-solutions-to-the-next-level/
エスケー化研
https://www.assetvalueinvestors.com/painting-a-better-sk-kaken/
以上
AVIの概要
AVI はロンドンで設立された運用会社で、日本株に20年以上投資しています。1985年の設立以来30年以上にわたり、株式市場で割安となっている優良企業に投資しています。AVIの投資チームは、企業価値の長期的な改善のために投資先企業の経営陣や取締役とエンゲージメントを行っています。AVIは二つの投資ファンドを有しています。日本株へ合計28企業に投資。AVI グローバル・トラスト(純資産額:1,730億円、2021年6月4日現在)とAVIジャパン・オポチュニティー・トラスト(純資産額:220億円、2021年6月4日現在)です。