株式会社ストラテジックキャピタルが世紀東急工業株式会社への株主提案及び同提案に関する特集サイトの開設を公表

株式会社ストラテジックキャピタルのプレスリリース

この度、株式会社ストラテジックキャピタル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:丸木 強)は、本年4月26日に、世紀東急工業株式会社(東証一部:コード1898)に対し、株主提案権を行使する書面を提出し、同提案に関する特集サイトを開設したことをお知らせします。

弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び株式会社ストラテジックキャピタル(以下「提案株主」と総称します。)は世紀東急工業株式会社(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。

提案株主は、本年4月26日に、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送し、同月27日に当社への株主提案に係る書面の到達を確認しましたので、本件を公表いたします。株主提案の内容及び提案の理由のそれぞれの概要は下記の通りです。
詳細な説明は、https://proposal-for-seikitokyu-from-sc-2021.com/又は株式会社ストラテジックキャピタルのホームページ右上の特設サイトリンク(https://stracap.jp/)をご参照ください。

                         記

[1] 提案する議題の内容

1.資本コストの開示に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。

第7章 資本コスト
第42条 当会社は、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書(以下「CG報告書」という。)において、CG報告書提出日から遡る1か月以内において当会社が把握する加重平均資本コストを、その算定根拠とともに開示するものとする。

2.剰余金の処分の件

(1)配当財産の種類
金銭
(2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
143円から、第72回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たり配当金額を、会社提案配当金額に加えて配当する。
第72期1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」という。)が143円と異なる場合は冒頭の143円を実績EPSに読み替える。
なお、配当総額は、上記の普通株式1株当たりの配当金額に、当社の第72回定時株主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
(3)剰余金の配当が効力を生じる日
当社の第72回定時株主総会の開催日の翌日
なお、本議案は、第72回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。

[2] 提案の理由

1.資本コストの開示に係る定款変更の件
当社の株価は、解散価値程度でしか評価されていないが、当社の2020年3月期の税務上の繰越欠損金の影響及び特別損益を除いたROEは12.2%、そして、同様に税務上の繰越欠損金の影響及び特別損益を除いて算定した2021年3月期予想ROEは14.1%と高水準である。
一方、当社取締役会は、昨年の定時総会において提案株主が提案した資本コスト開示に係る株主提案に対する反対意見において、「ROEについては(略)株主資本コストを上回る11.7%(2019年5月9日修正後)を計画値として定め、公表いたしております。」と主張しており、当社の株主資本コストは11.7%よりも低いことを表明している。したがって、冒頭にて算定したROEもまた、当社取締役会の想定する株主資本コストを上回っていることとなる。
それにもかかわらず、当社の株価は解散価値程度でしか評価されていないこととなるが、その理由は、株式市場が想定している株主資本コストが、当社取締役会が想定している自社の株主資本コストよりも高いことにあると考えられる。すなわち、当社取締役会は、自社の株主資本コストを的確に把握していない可能性が高いと考えられる。
当社は、低い配当性向を継続して自己資本をさらに積み増す資本政策により、将来のROEの低下が見込まれることに加え、当社の度重なる独占禁止法に違反する行為について、公正取引委員会からは排除措置命令や課徴金納付命令の処分、国土交通省からは営業停止処分、更にNEXCO東日本等からは指名停止措置等の処分を継続的に受けた結果、投資家が当社の株式保有にはリスクを伴うとの認識を抱くこととなり、当社の業績動向は株式市場から不安視されている。そのような市場の認識の反映として、株主資本コストがROEと同程度の水準にまで高まっているにもかかわらず、当社取締役会がこれらの問題点を認識していないため、当社取締役会の想定する株主資本コストと株式市場が想定する株主資本コストとの間に乖離が生じているものと考えられる。
東京証券取引所の有価証券上場規程別添の「コーポレートガバナンス・コード」の「原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表」では、経営陣が自社の資本コストを的確に把握することを求めている。当社経営陣においても、当社の株主資本コストを踏まえた加重平均資本コストを的確に把握したうえで事業計画や資本政策等を立案・検証することが求められているというべきである。また、加重平均資本コストが開示されることにより、当社経営陣と株主を含む投資家との間で、共通の尺度に基づく対話も可能となる。このように資本コストを開示することによって、当社株式の市場における低い評価の改善を目指すことができると考える。
しかしながら、昨年の資本コスト開示に係る株主提案について、当社取締役会は「中長期的に安定的に資本コストを上回る経済的価値を生み出すことが重要であると考えております。」としながらも、「資本コストの開示については、株主様や投資家との対話の内容なども踏まえつつ(略)取締役会において慎重に検討したうえで、決定すべき事項であると考えております。」と主張し、提案に反対した。そして、その後、資本コストの開示に関して当社は何らのアクションもしていない。冒頭のように当社取締役会が的確に自社の株主資本コストを認識していない疑いがあるのになぜ放置しているのか、非常に理解に苦しむところである。そもそも、経営の目標数値として重要なものであるとの自覚があるのであれば、開示してしかるべきである。

2.剰余金の処分の件
「[1] 2.剰余金の処分の件」に記載の143円とは、2021年4月23日現在最新の当社予想1株当たり当期純利益の金額である。本件は、会社提案の1株当たり配当金がいくらであっても、当期純利益全てを配当金とすることを企図した提案であるが、単に2021年3月期の配当として143円の配当金を求めているのではなく、後記のように、今後の中長期的な資本政策として、配当性向100%を継続的に採用していただくことに期待した提案である。
当社の自己資本比率は2020年3月末現在で49.1%である。2016年3月末に当社の自己資本比率は36.9%に上昇し、1992年3月末の32.3%を24年ぶりに更新しており、2020年3月末はそれよりも大幅に高い水準となった。さらに、当社は2018年5月に発表した中期経営計画(以下「本中計」という。)において、自己資本を2017年3月末から3年間で40%以上積み上げる数値目標を策定している。弊社は、このような資本政策は株主価値を毀損させるだけだと考え、有利子負債を増やすこと、すなわちレバレッジを高めることにより、ROEを高め、株主価値を向上させる施策の実行を、当社に対して再三にわたり要望している。本中計が対象とする期間は2021年3月期までであるが、本中計と同様の資本政策が2022年3月期以降も継続すれば、低水準の配当性向の影響からさらに自己資本が積み上がり、レバレッジは低下することから、将来的にROEは低下していく可能性が高い。
当社は、これ以上自己資本を増加させてもROEは減少するだけである。余剰資金を株主に還元することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながるので、剰余金の配当を大幅に増額すべきである。そして、第72期だけではなく、それ以降も当社の資本政策として配当性向100%を採用することで、中長期的にも当社が自己資本を積み上げないことを明らかにしていただきたい。
なお、当社は、2020年12月末現在で、現預金約191億円を保有しており、有利子負債は約51億円に過ぎない。現預金から有利子負債を控除した額(以下「ネットキャッシュ」という。)は約140億円であり、2016年3月末のネットキャッシュは約60億円であったことに鑑みると、ネットキャッシュは大きく増加している。今回提案する剰余金の処分案を実行しても、その配当総額は当期純利益の範囲内であることから、当社のネットキャッシュ及び自己資本の水準を大きく変えるものではなく、当社の財務状態は良好なままである。

なお、提案書において記載する会社数値は、全て連結計算書類に基づいている。

                                                 以上