中国・『全人代』は財政金融政策の正常化を示唆

三井住友DSアセットマネジメント株式会社のプレスリリース

三井住友DSアセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:猿田隆)は、経済イベントや市場動向に関するマーケットレポートを日々発行しております。このたび、マーケットレポート「『中国・『全人代』は財政金融政策の正常化を示唆」を2021年3月10日に発行いたしましたので、お知らせいたします。

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中国の国会に当たる全国人民代表大会(『全人代』)が3月5日、開幕しました。会期は3月11日までと、昨年同様、コロナ感染防止の観点から通常よりも短めとなりました。政府活動報告では、注目された2021年の経済成長目標が「6%以上」に設定されたほか、財政政策や金融政策については、正常化に向けた動きが強まることが示唆されました。

【ポイント1】2021年の成長率目標を「6%以上」に設定
5カ年計画の成長率目標は設定せず

■中国の第13期全国人民代表大会の第4回会議が3月5日、北京で開幕しました。李克強首相は所信表明に当たる政府活動報告で、2021年の実質経済成長率の目標を「6%以上」としました。また、失業率を5.5%、都市部の新規雇用を1,100万人以上としました。

■政府活動報告とは別に公表した5カ年計画では、今後5年間の中期成長率目標を明記せず、経済状況を確認しながら、毎年、成長率目標を設定するとしました。また、35年までの長期目標については「1人当たりのGDPを中等先進国並みにする」としました。

【ポイント2】財政・金融政策は「正常化」へ

■財政政策については、「質を重視した効率的かつ持続可能性のある積極的な姿勢」という文言が繰り返されました。予算案における財政赤字のGDP比は3.2%と、2020年の3.6%以上から縮小しました。過度に拡張的な財政政策は修正され、正常化に向けた動きが始まるとみられます。

■金融政策については、「機動的かつ対象を絞った穏健な姿勢」が強調されました。行き過ぎた金融緩和とは距離を置く一方、経済成長に見合った流動性は供給する方針です。金融政策も現在行われている正常化への動きがさらに進展することが示唆されています。

【今後の展開】2021年の経済成長率は目標を大きく上回る見込み

■国際通貨基金(IMF)によれば、2021年の中国の経済成長率見通しは8.1%が見込まれています。弊社は8.9%と予想しています。『全人代』で設定された2021年の「6%以上」という成長率目標は、ほぼ確実に達成可能な目標だとみられます。これは、景気が上振れしやすい2021年に地方政府が実績作りに走る行動を前もって抑制する狙いがあったと推察されます。景気過熱により、結果的に中長期的な景気安定の道筋がみえにくくなることを中央政府は警戒し、目線を引き下げたと思われます。

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