世紀東急工業株式会社代表取締役等に対する株主代表訴訟の提起

株式会社ストラテジックキャピタルのプレスリリース

この度、株式会社ストラテジックキャピタル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:丸木 強)は、本年12月18日に、世紀東急工業株式会社(東証一部:コード1898)代表取締役等に対する株主代表訴訟を東京地方裁判所に提起したことをお知らせします。

 弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンドは世紀東急工業株式会社(以下「当社」といいます。)の株主です。
 本年10月14日付プレスリリース「世紀東急工業株式会社(東証一部:コード1898)代表取締役等に対する損害賠償責任を追及する訴え提起の請求について」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000052343.html)の通り、ファンドは、当社(当社の監査役)に対し、当社取締役及び元取締役(以下「取締役等」といいます。)の損害賠償責任を追及する訴えを提起するように請求しました。その後、ファンドは、当社より不提訴理由通知書を受領したため、本年12月18日に、当社取締役等に対する株主代表訴訟を東京地方裁判所に提起しました。当社の損害(下記1)及び訴訟提起の理由の概略(下記2、3及び4)は下記の通りです。

                                                                     記

1.当社が受けた損害について
 当社は、アスファルト合材の販売価格の引上げに関する価格カルテル(以下「価格カルテル」といいます。)を行い、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」といいます。)に違反したとして、2019年7月30日、公正取引委員会から排除措置命令及び28億9781万円の課徴金納付命令を受けました。現在、当社は、公正取引委員会に対して、課徴金納付命令のうち10億6364万円の取り消しを求める訴訟を提起していますが、残りの18億3417万円については争っておらず、独占禁止法に違反する行為をしたこと自体は自認しているため、課徴金のうち18億3417万円については当社の損害額として確定しています。

2.被告及び請求金額について
 前述の確定している課徴金18億3417万円について、現任の代表取締役を含む4名に対して、代表取締役又は取締役としての在任期間を勘案した上で、当社に賠償することを求めます。

<被告ら及び請求額>
佐藤俊昭 代表取締役会長 (請求額:17億3227万円)
佐々木正博氏 (元取締役)(請求額:15億7942万円)
平本公男 取締役       (請求額:15億7942万円)
齋藤一彦氏(元取締役)  (請求額:18億3417万円)

3.被告佐藤 代表取締役の善管注意義務違反行為について
 公正取引委員会が認定した価格カルテルの期間は、遅くとも2011年3月以降2015年1月27日までの間です。しかし、当社では、2011年3月以前にも独占禁止法に反する行為や刑法上の談合罪に該当する行為が複数回判明しています。被告佐藤 代表取締役は、2004年6月に当社の取締役に就任し、2007年4月からは内部統制推進室長も務め、本件違反行為以前になされた独占禁止法違反や談合罪に該当する行為についても知悉していましたが、2012年4月に代表取締役に就任後、遅滞なく、社内リニエンシー制度や営業担当者に対する面談時の法令遵守状況に関するインタビュー(これらが導入されたのはいずれも2016年です)といった法令に違反する行為を防止するための具体的な措置を講じることを取締役会に発議、または自ら実施しませんでした。したがって、被告佐藤 代表取締役は、法令遵守に関する管理体制を整えるべき義務(すなわち、代表取締役が負う善管注意義務)を果たしていません。
 以上の通り、被告佐藤 代表取締役が、代表取締役に就任後、遅滞なく、本件合意の形成時期より前に前述の措置の導入を取締役会に発議し、または自ら実施して、管理体制を整えていれば、本件違反行為がなされず(少なくとも中止され)、課徴金納付命令も受けずに済んだといえます。

4.被告佐々木 元取締役、被告平本 取締役及び被告齋藤 元取締役の善管注意義務違反行為について
 被告佐々木 元取締役は、価格カルテルの合意の場(以下「9社会」といいます。)に自ら出席し、あるいは他の担当者が出席した場合には、その担当者から9社会において話し合われた値上げの方針に関する報告を受けていました。そして、その後も取締役の地位にあった被告佐々木 元取締役は、9社会の合意内容に基づいて、値上げを行うことやその徹底などを社内に指示していました。
 一方、被告佐々木 元取締役による社内への値上げの指示に加えて、特に重要な指示事項については、事業推進本部の部長らの名で社内通達という形で行われていました。その社内通達は、被告齋藤 元取締役、被告平本 取締役及び被告佐々木 元取締役の3名が記名押印しており、記名押印時点において、3名はいずれも事業推進本部の本部長(被告齋藤 元取締役)または副本部長(被告佐々木 元取締役及び被告平本 取締役)を務める取締役でした。
 以上の通り、上述の3名は、本件違反行為の実行者であり、取締役としての善管注意義務に違反しています。

                                                 以上