運用者の視点:中国の『新エネルギー車』

三井住友DSアセットマネジメント株式会社のプレスリリース

三井住友DSアセットマネジメント株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:猿田隆)は、経済イベントや市場動向に関するマーケットレポートを日々発行しております。このたび、マーケットレポート「運用者の視点:中国の『新エネルギー車』」を2020年11月12日に発行いたしましたので、お知らせいたします。

<今日のキーワード>

「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、感じたことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回のテーマは、中国の自動車市場の大きな変化や経済発展に結びつく可能性がある『新エネルギー車』についてです。

【ポイント1】中国は『新エネルギー車』産業発展計画を正式に発表

■中国国務院は11月2日、2021‐35年の『新エネルギー車』産業発展計画を発表し、2025年までに中国の新車販売台数に占める電気自動車など『新エネルギー車』の比率を20%前後まで引き上げる目標が示されました。また、2035年までには、新車販売の主流を電気自動車とすることや、公共交通機関の車両をすべて電動化すること、燃料電池車の商用化なども目標としました。これらは拘束力のある目標ではありませんが、世界最大の自動車市場を抱える中国の国務院からの正式な発表であり、今後、内外の自動車メーカーはこれを見据えた対応が求められると想定されます。

【ポイント2】環境対応車への転換期

■この発表の約一週間前、10月27日に中国自動車工程学会が、中国工業情報化部の指導のもとに「省エネ・新エネルギー自動車技術ロードマップ2.0」を公表していました。2035年までに新車販売台数に占める『新エネルギー車』の比率を50%以上、残りはすべてハイブリッド車にすることが示されていたため、国務院から出てきた目標に特段の驚きはありませんでした。また、2025年の新車販売に占める『新エネルギー車』の比率は草案の25%から下方修正されており、必ずしも順調に進展しているとは言えない『新エネルギー車』の普及状況を踏まえた目標となっています。それでも中国の自動車業界が歴史的な転換期にあることには違いはなく、目標通りに進めば、従来型のガソリン車の新車販売は2035年までに全廃され、100%環境対応車になります。

 

【今後の展開】中国の変化、環境問題への取り組みの真意とは

■9月の国連総会で、習近平国家主席が2060年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標を表明したことは、かつての中国を思い起こすと隔世の感があります。以前は経済発展優先で、地球温暖化など環境問題の責任は、先に発展した先進国が負うべきという姿勢でした。今回、環境問題への意識を急速に強めた背景には複数の理由があります。「地球規模の問題に対処する姿勢をアピールし、環境問題への関心が高い欧州を取り込む必要性があるから」という見方は米中対立が長期化する中、それなりに説得力はありますが、より現実的・実利的には、「環境が極めて大きなビジネスになるから」ということだと思います。『新エネルギー車』産業で中国が主導権を握ることが出来れば、大きな経済的見返りを得ることが出来ると考えられます。ガソリン車など内燃機関を動力としたこれまでの自動車産業の発展過程で大きく出遅れ、世界に通用するブランドや技術を持てなかった中国にとって、主導権の重要性は強く認識されていると考えられます。

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