株式会社プラネットのプレスリリース
国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第145号として、マイナポイントに関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載のデータもご提供できますのでお気軽にお問い合わせください。
- 半数以上が制度を“理解”も、若年層の認知度はいまひとつ
7月から予約受付をしていた「マイナポイント」が本格始動しました。マイナポイントは、「マイナンバーカード」を使って手続きをすると、2020年9月~2021年3月まで5,000円を上限に買い物額の25%が還元されるというものです。そこで今回は、話題のマイナポイントについて、申し込み状況などあれこれと探ってみました。
まず、マイナポイントの認知度を調べてみました(図表1)。内容を「理解している」(「よく理解している」+「大体理解している」)と答えた人は56%と半分以上に。「名前を聞いたことがある程度」と合わせると、9割以上の人が制度自体を認知しています。一方で「名前を聞いたことがなく、よくわからない」とした人も6%いました。
性・年齢別では、男女20代と女性30代で「理解している」人は半数以下、男性の20・30代では「よくわからない」とした人が1割超と突出、若年層では制度の認知がいまひとつのようです。また、男性は「よく理解している」とした人が各年代で2割を超えていますが、女性では60代のみに。マイナポイントの説明では「アプリ」「パスワード」などの用語が出てくるうえ、段階を踏んで手続きを進めなければいけないため、「なんとなくは分かるけれど、100%理解は難しい」という人が多いのかもしれません。
- 3分の1がマイナポイントを契機に“マイナンバーカードを取得”
次に、マイナポイントの必須アイテム「マイナンバーカード」(以下、カード)の保有状況を聞いたところ(図表2)、27%の人が「マイナポイント開始前から保有」と回答。また「マイナポイント開始後に申請し保有」「申請中」「申請予定」の合計は35%にのぼり、マイナポイントがカード取得の後押しになっていることがうかがわれます。年代別では、「開始前から保有」していた人の割合が高いのは60代以上で、特に70代以上では4割に。役所の手続きなどの利便性を考えて、以前からカードを持っていた人が少なくないのかもしれません。
一方、「取得予定はない」と回答した人も38%にのぼり、50代以下で高い傾向がみられます。マイナポイント制度をカード普及の起爆剤にしたい国にとっては、この層への訴求が課題と言えそうです。
- マイナンバーカード取得者の4割が“これから手続き”
カード取得という、マイナポイント申請の“第1関門”を突破したら、専用アプリ・ソフトをインストールしたパソコンやスマホ、または自治体やコンビニなどに設置の端末から、カードを使って予約・申込を行います。そこで、カード取得・取得予定の人にマイナポイントの手続きをした・する予定かを聞いたところ(図表3)、「すでに手続き済み」42%、「アプリのダウンロードやマイキーIDの取得はしたが未完了」3%と、約半数がアクションを起こしていました。「これから手続きする予定」の人が39%であることから、マイナポイントの本格普及はこれからと言えそうです。
男女別では、男性で「手続き済み」が「これから手続き予定」を7%ポイント上回っているのに対し、女性は拮抗しています。図表2でマイナポイント開始前からのカード保有率が男性のほうが高いことも背景にあるのでしょう。性・年代別でみると、図表2でカード保有率が高かった60代で、男女とも「手続き済み」が最多の一方で、70代以上では男性45%、女性26%と男女間で大きな差が。高齢女性では、スマホやパソコンの苦手意識などで手続きを後回しにしている人が多いのでしょうか。30~50代の働き盛り世代では、男女ともおおむね4割の人がすでに手続きを済ませていました。
こうしたなか、カードを持ちながらも「手続きする予定はない」人も16%にのぼり、特に20・60代女性と70代以上の男女では2割超に。マイナンバーの番号やパスワードを忘れると、再発行のために役所に出向かなければならず、こうしたことで手続きを断念した人も一定数いるのかもしれません。
ほかの属性別では、《職業別》で“会社役員・経営者”と“公務員”で半数以上が「手続き済み」と回答。情報に敏感であったり、立場上カード保有の意向が強いことを反映しているのでしょうか。《婚姻別》では、より家計に敏感な人が多いと思われる“配偶者あり”がマイナポイントに対する意欲が高い結果となりました。
- 若者は“QR決済”、中高年は“クレカ”と紐づけ
マイナポイントでは、ひとつのキャッシュレス決済サービスと連携させ、そのサービスを利用する、あるいはチャージする時にポイントで還元を受けることになります。選択肢が多く、各事業者が還元上乗せなどのキャンペーンを行っているうえ、申し込み後の変更ができないことから、悩んだ人も多いでしょう。そこで、どんなキャッシュレス決済サービスを選んだのかを聞いたところ(図表4)、最多だったのは3分の1の人が選んだ「電子マネー」(WAON、nanaco、Suicaなど)で、各年代で3割超と安定した支持を得ました。以下は、「クレジットカード」26%、QR/バーコード決済(PayPay、LINE Payなど)23%と、僅差とはいえ、近年急速に普及が進んだQR/バーコード決済より、クレジットカードを選択した人が多いというのは意外ですね。年代別だと、50代以上でクレジットカード、40代以下でQR/バーコード決済を選択した人が多くなっていますが、20代では両者が拮抗しているのは興味深いところです。
当該の決済サービスを選んだ理由としては(図表5)、「日常的に使うサービスだから」が8割と断トツに。以下、「使える店舗が多い」27%、「1回のチャージや手続きで上限の還元が受けられる」25%、「簡単に使える」23%と続きました。「キャンペーン内容や特典」を重視した人は19%と意外と少ない印象です。“お得感”よりも、“使い勝手”や“利便性”を重視しつつ、1回で上限まで還元を受け取って“もらい逃がし”がないようにしよう、と考える人が多い、と言えそうです。
- 若者は“面倒”、高齢者は“セキュリティに不安”で申請しない
マイナポイントの申し込みは随意なので、図表3で示した「(カードを持ちながらも)マイナポイントの手続きの予定はない」のなかには、当然ながら“積極的に手続きをしない”人も一定数含まれます。そこで、カードを持っていない人と、持ちながらもマイナポイント手続きの予定がない人に、マイナポイントの申請をしない理由を聞いてみました(図表6)。その結果、最多だったのが「手続きが面倒だから」で半数の人が挙げました。以下「セキュリティ面に不安があるから」40%、「カードを持ちたくないから」31%、「手続きが複雑でよくわからない」21%が続きました。
年代別でみると、「手続きが面倒」とした比率が特に高かったのが20~40代に。仕事や子育てなどに忙しく、申請手順を調べたり手続きをする時間がない、ということなのでしょうか。「セキュリティ面の不安」については、60代・70代以上で最多だった一方で、年代が下になるほど比率が下がっています。この傾向は、日ごろからスマホやパソコンを使う機会が多い・少ないに左右されているのかもしれません。70代以上でほかの世代より「カードを持ちたくない」「キャッシュレス決済を使っていない・使いたくない」の比率が高い背景にも、同様の理由がありそうですね。一方で、「還元が少ない」を理由に挙げた人は8%と少なく、年代間でもそれほど大きな差はみられませんでした。
- 現行の2~3倍の還元なら申請…?
このように、「還元が少ない」ことはマイナポイントを申請しない理由としてはそれほど重視されていないようですが、ほかの理由を挙げた人の一部は“現行より還元率が高いのなら、多少手間がかかっても申請しようか…”と重い腰を上げるかもしれません。そこで、還元がいくらに引き上げられたらサービスを受けたいと思うかを聞いてみました(図表7)。“多ければ多いほど”というのが人情ということなのか、2割の人が「5万円以上」とした一方、「1万円台」も14%に。現実的なところとしては、最大還元額が現行の2~3倍になれば行動を起こす人が増えそうです。男女差をみると、「5万円以上」が男性で5.8%ポイント、「1万円台」では女性で2.6%ポイントそれぞれ高いことから、女性の方が現実的なのかもしれません。
とはいえ、半数は「引き上げられても受けたくない」としており、かたくなにマイナポイントに背を向ける人が少なからずいるようです。
- 申請を“手間”と考えるか否か…
最後に、マイナポイントの制度や利用して思うことなどについて教えてもらいました。手続きについて「簡単」「複雑」両面の声は年代を問わずあり、ITシステムへの慣れ・不慣れや個人の感覚に依拠しているようです。手続き済みの人からは「家計に助かる!」とのコメントも多く寄せられました。一方で、スマホやパソコン操作に不慣れな人への配慮などへの要望も。今後の政府のマイナンバーカード活用策もあわせて注目していきたいところです。
【マイナンバーカードを作る・使う契機に】 【手続きは簡単? 難しい?】 【還元は家計に助かる!】 【迷い・要望も】 |
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「マイナポイント」に関する意識調査を実施。
期間:2020年10月16日~20日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
株式会社プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/
メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。
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