EY Japanのプレスリリース
EYが実施するアントレプレナー表彰制度『EY World Entrepreneur Of The Year(以下、WEOY)』が、2020年6月4日(現地時間)、WEOY史上初のオンラインでの開催となり、インドを拠点とするバイオコンリミテッド(Biocon Limited、以下、バイオコン社)の会長兼社長であるキラン・マズムダル・ショウ(Dr. Kiran Mazumdar-Shaw)氏が、世界ナンバーワンのアントレプレナーに贈られる「EY World Entrepreneur Of The Year™ 2020」を受賞しました。同氏は、41の国と地域から選ばれた46名の各国の「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」代表の中から選出されました。20年に及ぶWEOYプログラムの歴史の中で、ショウ氏はインド代表者としては3人目の受賞者となる栄誉に輝きました。インドからは過去、2014年にコタック・マヒンドラ銀行(Kotak Mahindra Bank)のウダイ・コタック(Uday Kotak)氏が、2005年にインフォシス・テクノロジーズ社(Infosys Technologies Limited)のナラヤナ・ムルティ氏が選ばれています。 また、ショウ氏は、女性としては、2011年に受賞したシンガポールのハイフラックス社(Hyflux Limited)のオリビア・ラム(Olivia Lum)氏に続く、史上2人目の受賞者となります。
ショウ氏(67歳)が1978年にバイオ酵素企業バイオコン社を立ち上げた時、従業員はわずか2人、資本金は500米ドルに過ぎませんでした。しかし、その後、バイオコン社は従業員数11,000人を超える企業に成長し、2019年度の売上高が8億米ドルに達するという、アジアで最強のイノベーション主導バイオテクノロジー企業の1つとなりました。バイオコン社とそのグループ会社は世界の医療分野に持続的なインパクトを与えています。同社の貢献により糖尿病に苦しむ何百人もの人たちが高品質なインシュリンを手頃な価格で入手できるようになった一方で、がんや、リューマチなどの慢性疾患と戦うさらに何百万もの人たちが、手頃な価格のバイオ後続品を利用できるようになりました。
WEOYの選考委員長で、Moose Toys社の会長兼共同CEOのマニー・スタル(Manny Stul)氏は、次のように述べています。
「ショウ氏は、人にインスピレーションを与えることのできるアントレプレナーです。彼女は、強い意志、困難にもめげずに挑戦し続ける力、イノベーションへの意欲が、長期的価値を生み出すことができることを証明しています。選考委員一同、ショウ氏が過去30年にもわたって会社の成長を促進し、維持している能力を高く評価しただけでなく、彼女の高潔性と世界中に大きなインパクトを与えている社会貢献活動に対する情熱にも感銘を受けました。ショウ氏が築き上げたインドで最大のバイオ医薬品会社は、思いやりのある資本主義(compassionate capitalism)を基盤として、会社の利益より患者のニーズを優先させる企業です。」
バイオコン社 会長兼社長のキラン・マズムダル ショウ氏は次のように述べています。
「アントレプレナー精神とは、端的にいうと問題を解決するということです。最大のチャンスはしばしば、最も大きな困難を体験している時にやってきます。私はこのことを、アントレプレナーとして歩んできた道のりにおいて一環して体験してきました。私のビジネスの焦点は、世界の医療への貢献と、世界中の誰もが病気から命を守る医薬品を入手できるようにすることです。しかし、私のアントレプレナーとしての使命には、単に株主に価値を提供するという以上のものがあると考えています。富を生み出すことで、変化をもたらすきっかけとすることができます。そして、すべてのアントレプレナーは、自身を取り巻く世界と事業を営むコミュニティに対して責任を負っています。経済が発展していくためには、女性もまた非常に重要な役割を果たしています。しかし、女性の貢献はあまりにも長い間軽視されてきました。より多くの女性が起業の夢を追いかけられるよう勇気づけるために、WEOYのような舞台を活用することが重要です。私がこの栄誉ある賞をいただけたことを、大変光栄に思っています。」
EYグローバル会長兼CEOのカーマイン・ディ・シビオは次のように述べています。
「アントレプレナーとは、明確なビジョンを持って行動を起こし、目標に向かって邁進する人のことです。彼らは、注目に値する企業やサービスを立ち上げることで、イノベーションを引き起こし、成長と成功を生み出し続けます。ショウ氏の低価格で利用可能な最先端の代替医薬品を開発することへの情熱によって、手頃な価格の医療が世界中の患者コミュニティにもたらされています。イノベーションを加速させる彼女の力によって、バイオコン社は非常に大きな成長を遂げただけでなく、慢性疾患に対する同社の治療ポートフォリオを多様化させることができました。ショウ氏は、真の意味で人を奮起させるようなWEOY受賞者です。」
EYグローバル・アントレプレナーシップ・リーダーのスタシア・ミッチェル(Stasia Mitchell)は、次のように述べています。
「ショウ氏は、長期的価値を創出することにおいて卓越した実績を有し、世界中の何百万もの人々の生活をより良い方向へ変えていくという明白なビジョンを描いています。そのようなショウ氏は、まさにWEOY受賞にふさわしい人物です。世界中の人々が医薬品や医療を手頃な料金で利用できる。その実現にショウ氏が与えた影響は、これから何十年先までも続いていくくことでしょう。ショウ氏は、他のアントレプレナーたちにこれからの道筋を示す灯台のような存在です。」
バイオコン社 会長兼社長キラン・マズムダル・ショウ氏について
第一世代アントレプレナーであるショウ氏は、オーストラリアの大学でビール醸造技術を学び、マスターブルワーの資格認定を受けたのち、ビール醸造責任者の職に就くため1975年に故郷のインドに帰国しました。その後、男性優位のビール業界に参入しようと2年間奮闘しましたが、その壁を乗り越えることができませんでした。そこで、ショウ氏は、インドのベンガルールにある借家の自宅ガレージで、バイオ産業用酵素を生産するバイオコン社を創業しました。その1年後、バイオコン社はインドの企業としては初めて、米国と欧州に酵素を輸出する会社となりました。
現在、バイオコン社とその子会社は、インドの製薬会社があまり参入していない分野の先駆者となっています。その分野には、発酵ベースの小分子(ermentation-based small molecules)、ヒトインスリンおよびインスリンアナログ、主要な抗体医薬品のバイオ後続品、新規治療法、ハイエンドの委託研究サービスなどが含まれます。 120カ国以上に顧客を抱えるバイオコン社は、スタチン、免疫抑制剤、その他の特殊分子のバイオ後続品や医薬品有効成分の分野の世界的リーダーです。 2014年、バイオコン社はインドのバイオテクノロジー企業としては初めて株式を公開し、上場初日に10億米ドル超を調達したインドで2番目の企業となりました。 現在の同社の時価総額は40億米ドルを超えています。
バイオコン社はまた、病気から命を守る医薬品を世界中の誰もが手ごろな価格で手に入れられるよう、先頭を切って取り組んできました。例えば、2019年9月に同社は、低中所得国に対して、遺伝子組換えヒトインスリンを現在の価格の3分の1にも満たない、1日当たり10米セント未満(糖尿病患者1人に1日平均40単位のインスリンが必要)で供給すると発表しました。同社は、この15年間に累計20億回分を超えるインスリンのバイオ後続品を世界中の患者に手頃な価格で供給してきました。
ショウ氏のビジネス哲学とリーダーシップ哲学の根幹をなしているのは、格差の解消に取り組む思いやりのある資本主義です。2004年に設立されたバイオコン財団は、社会的に弱い立場にある人々に対して、基本的な医療、公衆衛生、一般的ながんや非感染性疾病の早期診断と治療の機会を提供しています。 また、ショウ氏は医療系スタートアップ企業に対するエンジェル投資家でもあり、これまでに、手頃な価格での乳癌検診、化学療法実施の判断、未熟児や低出生体重児のための省エネ型の保育器の提供などの分野で成功している数多くのスタートアップ企業に資金を提供しています。 また、ショウ氏は、さまざまな病気の治療に向けた科学の画期的な進歩を目指す、非営利の研究機関マズムダル・ショウ・トランスレーショナル・リサーチ・センターを設立して、先進的でありながら手頃な価格で行えるがん診断法を複数開発してきました。2016年には、ショウ氏はギビング・プレッジ(The Giving Pledge)に署名して、自身の資産の75%を慈善活動や社会貢献活動に寄付することを誓約しています。
選考委員について
独立選考委員会は、2016年のWEOY受賞者であるMoose Toysのマニー・スタル氏を選考委員長として、以下のメンバーで構成されています。
・大英帝国勲章者であり、Alexander Mann Solutionsの設立者兼会長のRosaleen Blair
・Link Asset Management Limitedのエグゼクティブディレクター兼CEO のGeorge Hongchoy
・Kaszek Venturesの共同設立者兼マネージングパートナーのHernan Kazah
・Sasolの会長Sipho Nkosi
・Esas Holdingの共同設立者兼ヴァイスチェアのEmine Sabancı Kamışlı
授賞式の動画、受賞者インタビュー、および高解像度写真は、下記ウェブサイトからダウンロードが可能です。
※本プレスリリースは、2020年6月4日(現地時間)にEYが発表したプレスリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版:
〈EYについて〉
EYは、アシュアランス、税務、トランザクションおよびアドバイザリーなどの分野における世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世界中の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホルダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そうすることで、構成員、クライアント、そして地域社会のために、より良い社会の構築に貢献します。
EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しくは、ey.com をご覧ください。
本ニュースリリースは、EYのグローバル組織のメンバーファームであるアーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド(EYGM)によって発行されています。EYGMは顧客サービスを提供していません。
〈EY ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーとは〉
EY ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーは、アントレプレナーの輩出をグローバルに支援するプログラムです。2001年より、毎年開催され、世界各国でEY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー代表に選出された受賞者が参加し、その努力と功績が称えられます。
さらに、参加アントレプレナーの中から”The best of the best”として、その年の世界ナンバーワンのアントレプレナーに贈られる ” EY ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー” 受賞者が選出、表彰される国際的なイベントです。
〈EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーとは〉
EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーは、成長の可能性を持つアントレプレナーの活動を奨励し、先見性、リーダーシップ、功績により人々に希望を与えるアントレプレナーの貢献を称えるという点で、他の賞とは異なります。
世界で初めて創設された、グローバルな賞であるEY・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーは、世界約60カ国、145を超える都市における国と地域において、グローバルな表彰制度を通じて、ダイナミックなビジネスを確立し、成長を続けるアントレプレナーを称えています。
日本においては、EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパンとして、日本のアントレプレナーを国際的なステージに輩出するアントレプレナー表彰制度として、2001年より実施しており、本年で20 年目を迎えます。EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパンは、アントレプレナーシップのロールモデル選出に取り組むとともに、本プログラムを通じ、世界に進出するアントレプレナーの支援、アントレプレナー・コミュニティの形成など、次代を担うアントレプレナーのサポートを推進してまいります。