Spiral Capital株式会社のプレスリリース
― 事業会社とバイアウトファンドを組成、CPE事業責任者に小原正憲が就任 ―
テクノロジーの力で社会変革に挑むスタートアップへの投資・支援を行う、独立系VCであるSpiral Capitalグループ(本社:東京都港区、グループ代表:奥野友和、以下「Spiral」)は、グロース・バイアウト領域に参入し、その第一歩として、事業会社と組んでグロース・バイアウトに取り組むCPE(コーポレートプライベートエクイティ)事業を開始しました。あわせて、グローバルPEファンドであるCVC Capital Partnersで17年間にわたりバイアウト投資に携わった小原正憲が、CPE事業責任者に就任しました。
まずは、株式会社クラフティア、セイノーホールディングス株式会社とそれぞれ組成した2ファンド(計300億円)を皮切りに、CPE事業を展開します。VCとして10年にわたりテクノロジー企業を支援してきた知見と、事業会社との協働で培ったネットワークを掛け合わせた「VCならではのバイアウト」で、成長企業に新たな資本政策の選択肢を提供し、成長企業と事業会社の双方の企業価値向上に取り組みます。
■グロース市場でのバイアウトニーズの高まりと、事業会社への期待
東京証券取引所によるグロース市場の上場維持基準の見直し(2030年以降、上場から5年経過後に時価総額100億円以上)を受け、成長企業の資本政策は大きな転換点を迎えています。
未上場のスタートアップでは、新規上場のハードルが上がり、グロース市場へのIPOは2024年の64社から2025年には41社に減少しました。一方、スタートアップのM&A(被買収・事業譲渡)は2024年に254件と、2015年以降で最多となっており、VCの投資先を受け止める新たな担い手が求められています。上場企業でも、グロース市場で時価総額100億円に満たない企業は約370社(市場全体の約6割)にのぼり、非公開化の件数も2022年の7件から2025年には17件に増えるなど、上場後の成長を描き直すための非公開化のニーズが高まっています。
こうしたバイアウトの対象となる成長企業にとって、最大の課題は事業のスケール化です。財務面の支援に加え、顧客基盤や技術、販路といった事業基盤と結びつくことが成長の鍵となる中で、有力な担い手として期待されるのが事業会社です。国内では、VCファンドの出資者に占める事業法人の比率が25.1%と、米国(9.1%)の約2.8倍に達し、日本はVC市場における事業会社の存在感が諸外国と比べても高い国です。さらに、コーポレートガバナンス改革を背景に、大企業の手元資金を成長投資に振り向ける動きも広がっています。
一方で、事業会社がスタートアップをマジョリティで直接取り込もうとすると、スタートアップの案件に精通した人材の不足や、買収後の統合(PMI)の難しさから、実行に踏み切れないケースも少なくありません。M&Aアドバイザー(FA)による取引の支援は広がっているものの、投資後の統合や事業の成長まで、事業会社と同じ立場で伴走できる担い手は、まだ限られています。
※出所:グロース市場のIPO社数はEY新日本有限責任監査法人、スタートアップの被買収・事業譲渡件数は金融庁「ベンチャーキャピタルに関する有識者会議」資料(原典:スピーダ スタートアップ情報リサーチ)、時価総額100億円未満の企業数は日本経済新聞、非公開化件数は日本取引所グループの公表資料をもとに当社集計。
■CPE事業の概要
Spiralでは、事業会社によるグロース・バイアウトの取り組みを、CPE(コーポレートプライベートエクイティ)と呼んでいます。CPEは、Spiralが事業会社と投資先の間に入り、両者にとって最適なPMIを実現する仕組みで、CVC事業で実績を積み上げてきた「二人組合」と同様のストラクチャーとなります。事業会社をLP(有限責任組合員)とするファンドを組成し、Spiral Innovation Partners(以下「SIP」)がGP(無限責任組合員)として、案件の開拓から投資の実行、事業会社とのPMIまでを主導します。
投資戦略の軸は、成長企業へのグロース・バイアウト投資です。あわせて、事業承継やカーブアウトなどの伝統的なバイアウト、上場企業を含む資本政策への対応、将来のM&Aを視野に入れたマイノリティ出資にも、案件に応じて対応します。
投資後3〜5年を目安に、事業会社への売却、スイングバイIPO、第三者への売却など、投資先と事業会社にとって最適な出口を設計します。事業会社は、ファンドを通じて投資先との協業を進めながら、本体への取り込みを判断できるため、直接の買収に比べてリスクを抑えつつ、戦略リターンと財務リターンの両立を目指すことができます。
CPEの特徴
● VCならではのバイアウト:VCとして10年・約200社のテクノロジー企業を支援してきた知見とネットワークを活かし、財務・オペレーションの改善に加え、テクノロジーを起点とした事業成長で企業価値を高めます。
● 事業会社との深い協働:CVCで築いてきた事業会社との信頼関係を土台に、事業会社の顧客基盤や技術、ブランドといったアセットを投資先の成長につなげます。
● CVCとの両輪:LPとなる事業会社の視点では、CVCで新規事業領域の探索と事業連携を進め、成長に応じてCPEで連結子会社化を含む深い事業協創へとつなげる、一貫した取り組みが可能です。
■運営を開始するCPEファンド
CPE事業の皮切りとなるのは、SIPがCVCで協働してきた2社とのファンドです。いずれも2026年7月に設立を決定しており、運営開始の詳細は順次お知らせします。
|
ファンド名 |
LP |
規模 |
主な投資領域 |
|
KRAFTIA Succession Value Partners |
株式会社クラフティア(東証プライム:1959) |
200億円 |
グリーンイノベーション、配電・電気・空調衛生・情報通信工事関連、AI・デジタルソリューション、建設テック、不動産・街づくり、クラフティアグループとのシナジーが期待できる領域 |
|
SEINO Alliance Fund |
セイノーホールディングス株式会社(東証プライム:9076) |
100億円 |
物流周辺領域、荷主企業のバリューチェーン全体 |
※ファンド名は通称です。正式名称は、それぞれ「クラフティア サクセッション・バリュー・パートナーズ投資事業有限責任組合」「SEINO Alliance Fund投資事業有限責任組合」です。
■Spiralの歩みとマルチストラテジー
Spiralは2016年の設立以来、テクノロジー企業への投資・支援の領域を段階的に拡大してきました。
● VCファンド:シード・アーリーステージのスタートアップへの投資から事業を開始。現在、運用総額は340億円
● CVCファンド(2019年〜):事業会社と組み、主にアーリー・ミドルステージのスタートアップと事業会社の協業を支援。現在、運用総額は740億円(公表前のファンドを含む)
● グロース・バイアウト(2026年〜):レイターステージから上場後の成長企業までを新たに支援対象に。まずはCPE事業から開始
今回の参入により、創業期から上場後までを一貫して支援する体制が整い、グループの運用総額は1,380億円(2026年10月時点、公表前のファンドを含む)となりました。VC/HF/PEの枠組みを超えた「Universal Technology Fund」というビジョンに、また一歩近づきます。
■CPE事業責任者の就任
CPE事業の責任者には、小原正憲が就任しました。事業会社とのCVCを運営してきたSIPに、小原のバイアウト投資の経験が加わり、CVCとCPEの両輪で事業会社とスタートアップの共創を支援する体制が整いました。
小原 正憲 CPE事業責任者(Spiral Innovation Partners パートナー)
欧州最大級の投資ファンドであるCVC Capital Partnersにてマネージングディレクターを務め、2023年までバイアウト投資事業に従事。2006年から17年間にわたり、幅広いセクターで数多くの日本チーム案件に関与した。同社を退社後は、リーガルテック企業のFRAIM株式会社にマネジメントとして参画し、事業会社との大規模な資本パートナーシップ案件を推進。2026年、Spiral Innovation Partnersに参画。慶應義塾大学経済学部卒、公認会計士。
■コメント
Spiral Capitalグループ代表 奥野 友和
「Spiralは創業当初から、あらゆるステージのテクノロジー企業を支援する、マルチストラテジーファンドへと進化することを目指してきました。シード・アーリーの純投資VCから始まり、アーリー・ミドルのCVCへと領域を広げてきた中で、グロース・バイアウトは、私たちのビジョンに残された最後のピースでした。日本では今、大企業がCVCを通じて蒔いてきた種が育ち、それを本格的に事業として取り込む段階に入りつつあります。一方で、マジョリティでの取り込みを支える担い手は、まだほとんどいません。CPEは、事業会社とスタートアップの双方にとって、その空白を埋める仕組みだと考えています。今回の参入を機に、日本のグロース・バイアウトの担い手として、新たな資本の流れをつくっていきます。」
Spiral Innovation Partners CPE事業責任者 小原 正憲
「長くバイアウト投資の世界に携わる中で、グロース領域においてもバイアウト投資の手法を活かせる機会が大きいと感じておりました。一方で、スタートアップ企業の一番大きな課題であるスケール化の実現は、従来型のPEファンドが得意とする財務やオペレーションの改善だけでは限界があり、既に事業領域に対する深い知見と実績、そしてスタートアップのスケール化を推進できる事業基盤を有している日本の事業会社との協業が非常に有効であると考えます。CPEは、Spiralがテクノロジー企業を支援してきた知見と、事業会社の持つ顧客基盤や技術を掛け合わせ、PEとしての企業価値向上の手法で投資先の成長を後押しする取り組みです。事業会社と投資先の間に立ち、両者にとって最適なPMIと出口を設計することで、成長企業に新たな選択肢を提供し、グロース市場全体の活性化に貢献していきます。」
■今後の展開
SIPは、この2ファンドを通じて実績を積み上げるとともに、他の事業会社とのCPEファンドの組成も進め、中長期的にCPE単独で運用総額1,000億円超を目指します。CVCとCPEの両輪で、事業会社とスタートアップの共創を、マイノリティ出資からマジョリティでの取り込みまで一貫して支援していきます。
■会社概要
Spiral Capital株式会社
所在地:東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 504
ジェネラルパートナー:奥野 友和、千葉 貴史
設立:2016年6月
事業内容:純投資ファンド(VCファンド)の運営
Spiral Innovation Partners株式会社
所在地:東京都港区虎ノ門5-9-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB 403
ジェネラルパートナー:岡 洋、鎌田 和博
設立:2019年5月
事業内容:戦略投資ファンド(CVCファンド・CPEファンド)の運営
Spiral Capitalグループ公式サイト:https://spiral-cap.com/
