~万博来場者の消費は大阪を中心に関西、全国に波及、全国での消費額は6,085億円~
Mastercardのプレスリリース
Mastercard、株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)、一般財団法人 関西観光本部(以下、関西観光本部)は、4月13日から10月13日まで開催された大阪・関西万博(以下、万博)期間における訪日外国人旅行者の消費行動を分析したレポートを作成しました。本レポートは、Mastercardの匿名化された決済データを活用し、万博の経済効果について関西(2府8県)を中心に、定量的に把握したものです。
なお、関西観光本部とMastercardは2023年2月に戦略的パートナーシップを締結、MastercardとMRIは2025年12月に「観光・インバウンド分野におけるマーケティング事業に関する協業を検討する基本合意」を締結しています。
本レポートでは、訪日外国人旅行者の購買行動や消費傾向、地域経済への貢献度を把握し、それをより高める施策の検討に役立てることを目的として分析しました。国・地域別/費目別の訪日外国人旅行者による消費額や前年同時期との比較に加え、訪日外国人旅行者の移動傾向を大阪、関西、全国といった区分で整理しています。分析の結果、万博来場者による経済効果は関西地域にとどまらず、全国へ広く波及していることが確認されました。
■全国で起こったこと ~万博に来場した訪日外国人旅行者の消費額は6,085億円~
訪日外国人旅行者(2,150万人)による全国の消費額は4兆6,606億円(前年同期比5,797億円増;14%増)、うち万博来場者(156万人)による消費額は6,085億円でした。このことから、万博の来場者による消費が全体の増加分を上回っていることが明らかとなりました。(図表1)
また、万博来場者の関西での消費額は2,703億円でした。6,085億円の半分以上が関西以外での消費となっており、万博開催の経済効果が全国に波及していることが分かります。(図表1、図表2)
図表1 万博開催期間中の訪日外国人旅行者の消費行動
|
旅行者数 |
消費額 |
前年同期比 |
消費額単価 |
|
|
全 国 |
2,150万人 |
4兆6,606億円 |
+5,797億円(+14%) |
21.7万円/人 |
|
うち万博来場者 |
156万人 |
6,085億円 |
- |
39.0万円/人 |
|
関 西 |
870万人 |
9,461億円 |
+1,948億円(+26%) |
10.9万円/人 |
|
うち万博来場者 |
156万人 |
2,703億円 |
- |
17.3万円/人 |
図表2 訪日外国人旅行者のうち万博来場者による経済効果の波及
訪日外国人旅行者の消費額単価は全国で21.7万円/人でしたが、万博来場者だけを見ると39.0万円/人で、万博開催が訪日外国人旅行者の消費単価向上に寄与したことが明らかとなりました。(図表1)
高付加価値旅行者(日本国内で1人当たりの消費額が100万円以上の旅行者)の消費額も伸長し、全国の消費額は8,902億円(前年同期比1,049億円増、13%増)、関西での消費額は1,735億円(前年同期比401億円増、30%増)と大きく伸びました。(図表3)
図表3 万博開催期間中の高付加価値旅行者の消費行動
|
旅行者数 |
消費額 |
前年同期比 |
消費額単価 |
|
|
全 国 |
51万人 |
8,902億円 |
+1,049億円 (+13%) |
175.8万円/人 |
|
関 西 |
36万人 ※全国の高付加価値旅行者のうち、関西を訪問 |
1,735億円 |
+401億円 (+30%) |
47.9万円/人 ※関西での消費分 |
■関西で起こったこと ~万博に来場した訪日外国人旅行者が関西広域を幅広く訪問、消費に貢献~
関西における訪日外国人旅行者の消費額は9,461億円(前年同期比26%増)でした。経済効果は万博開催地の大阪以外にも及び、例えば観光庁登録DMO(Destination Management/Marketing Organization、観光地域づくり法人)である「びわこビジターズビューロー」(滋賀県)のマネジメント区域、同じく「京都山城地域振興社」のマネジメント区域での消費額は、それぞれ前年同期比で169%増、121%増となりました。
また、関西の訪日外国人旅行者の市場(発地国・地域)にも変化が見られました。アメリカやイギリスといった欧米からの旅行者数が大幅に増加し、それぞれ前年同期比41%増、65%増となりました(関西の訪日外国人旅行者数全体では前年同期比34%増)。
※レポートでは関西2府8県および4政令指定都市(京都市、大阪市、堺市、神戸市)、関西の60の登録DMOマネジメントエリアそれぞれで集計
■大阪で起こったこと ~市内でも特に中央線沿線やベイエリアでの消費が拡大~
大阪市内の訪日外国人消費額は5,037億円(前年同期比28%増)でした。うち、都心エリア(北区、中央区、浪速区)の消費額は4,083億円(前年同期比22%増)でしたが、万博会場と周辺のベイエリア(此花区、港区、大正区、住之江区)の消費額は451億円(前年同期比42%増)と大きく伸びました。(図表4)
図表4 訪日外国人旅行者の大阪市内での消費行動(都心エリア、ベイエリア)
都心エリアとベイエリア・万博会場を結ぶアクセスルートには、JR北(環状線北回り)、JR南(環状線南回り)、大阪メトロ中央線の3本があり、このうち中央線沿線で消費額が大きく伸びました(637億円、前年同期比65%増)。一方、JR南沿線での消費(233億円)の前年同期比16%増は大阪市全体(28%増)を下回り、JR北沿線での消費(925億円)は前年同期比5%減となるなど、万博の波及効果に差が見られました。(図表5)
※沿線での消費額:各ルートの駅勢圏(駅から半径500m圏内)での消費額の合計
図表5 訪日外国人旅行者の大阪市内での経済効果の波及(アクセスルート沿線)
【レポート概要】
-
テーマ:万博期間における訪日外国人旅行者の消費分析
-
分析期間:2025年4月13日~10月13日(6カ月間)、2024年同時期との比較
-
対象地域:関西2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)および4政令指定都市(京都市、大阪市、堺市、神戸市)、関西の60の登録DMOマネジメントエリア、大阪市の特定エリア(アクセス沿線、ベイエリア)、参考として全国、関西以外の主要都道県
分析内容:
-
訪日外国人旅行者の消費額を、都道府県別/国・地域別/加盟店業種別に集計
-
対前年比の比較による消費動向の把握
調査方法:
Mastercardネットワーク内の集約・匿名化された決済データおよび各種統計データ*1に基づき推計
*1.
来場者数と入場チケット販売数について | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 『2025年10月7日 (火) 臨時理事会会議資料』
消費額についてインバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査) | 観光統計・白書 | 観光庁
免責事項
本レポートおよびプレスリリースは情報提供のみを目的としており、特定の行動や投資に関する助言や推奨を行うものではありません。意思決定や投資判断において、本情報の全部または一部に依拠することは適切ではなく、数値や分析結果の利用は自己責任でお願いします。また、本レポート内容は、いかなる形においてもMastercardの事業運営または財務実績に関する予想や実績を反映するものではありません。
#####
Mastercard について
Mastercardは、世界200以上の国と地域で経済の活性化と人々の生活の利便性向上に貢献しています。お客様と共に、誰もが繁栄できる回復力のある経済の実現を目指し、安全でシンプル、スマート、そして使いやすい多様なデジタル決済手段を提供しています。また、テクノロジーとイノベーション、パートナーシップとネットワークを活用して、人々、企業、そして政府が最大限の可能性を発揮できるよう支援する独自のプロダクトとサービスを提供しています。
株式会社三菱総合研究所 について
三菱総合研究所(MRI)は総合シンクタンクとして、経済・経営、政策・科学技術などの研究・提言から、分析・構想、設計・実証、そして社会実装まで、幅広い価値を提供しています。観光分野では、観光庁の観光立国推進基本計画等の政策調査や高付加価値旅行市場規模調査のほか、多様なパートナーとの共創により、さまざまな社会課題解決に取り組んでいます。
一般財団法人 関西観光本部 について
2017年4月設立。2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)を対象エリアとした関西唯一の広域連携DMOです。関西の自治体、経済団体、観光振興団体、観光関連を中心とした民間事業者等が参画し、府県や官民の枠にとらわれない組織として、その自由度と広域性を発揮しながら、関西広域でのインバウンドをはじめとする、観光振興に取り組んでおります。そして、2025年にはナショナルイベントである大阪・関西万博の開催地となる好機を活かしONE関西の旗印の下、関西を世界の旅行者に選ばれるデスティネーション”KANSAI”に育て上げていくべく取り組みを進めております。

