「AIバーチャル顧客」同士の会話からJALカード会員への効果的なマーケティング施策を導出

株式会社JALカードのプレスリリース

(共同リリース)

株式会社ジャルカード(以下、JALカード)と株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、生成AIを活用したマーケティング施策高度化の実証実験を実施し効果を確認しました。実証実験では、NTTデータの生成AI「LITRONⓇ Multi Agent Simulation」(注1)(読み、リトロン マルチ エージェント シミュレーション、以下、LITRON MAS)を用いて、JALカードの利用傾向などから複数の「AIバーチャル顧客(会員ペルソナ(注2))」を作成しています。AIバーチャル顧客同士で、販促対象商品に関心を示す顧客の特徴や、効果的なDMタイトルなどについて会話やグループディスカッションを行わせることで、マーケティング施策に有効となる示唆を抽出しました。

この示唆から導きだされた販促対象ターゲットを対象にダイレクトメールを送付した結果、従来ターゲットより購買率が3.0%向上し、効果が確認できました。

両社は今後、さらなる実証に取り組みマーケティング領域における生成AI活用の可能性を検証します。生成AI技術をマーケティング領域に活用することで、ヒトの経験や知見のみに依存しないマーケティング施策の高度化を実現し、JALカード会員のニーズに応えていきます。

【背景】

 昨今、生成AIを活用して新たなアイデアや新規事業創出を図る取り組みが広がっています。JALカードにおいても、テクノロジーの進化や顧客接点の多様化に伴い、JALカード会員一人一人への潜在的なニーズを喚起する最適なコミュニケーションに向けた取り組みを進めてきました。

 また、JALカードは航空と金融の二面性を持ち合わせており、非日常や日常の多様なデータを利活用できる他のカード会社にはない独自の強みを持っています。今後JALカード会員の期待により一層応えるためには、強みを最大限活用する必要があり、その手段として生成AIの可能性に期待しました。

 NTTデータは、2023年からJALカードとマーケティング施策高度化に向けてアイディエーションを重ね、JALカードの事業・業務理解を深めてきました。加えて、生成AIなどの先端技術の実績を積み重ねた、サービスデザインの専門家チームも有しています。今回のJALカードの目指す生成AI活用によるJALカードのマーケティング施策高度化に向けて、最適なノウハウ・アセットをNTTデータが有しているため、共同での実証実験に至りました。

【実証実験概要】

■実証実験

①JALカードの顧客データを基に、カードの利用傾向が似ているグループを作成。

②グループごとの特徴から各クラスタの人物像(ペルソナ)を作成。

③複数のペルソナ同士がLITRON MAS上で設定したテーマ(注3)に関して、会話またはグループディスカッションを行い、テーマに対する示唆(注4)を生成。

④得られた示唆に即して、マーケティング施策を実施。(例:ペルソナAが設定したテーマに対する反応がよいという示唆を得られた場合、ペルソナAの元となったグループをターゲットとしてマーケティング施策を実施。)

【実証実験結果】

■施策概要

・JALカード特約店A社B商品についてダイレクトメールでJALカード会員向けに販促

・B商品を嗜好する会員ペルソナ同士がLITRON MAS上でB商品の販促をかけた方がいいターゲットについて会話

・LITRON MASで得られた示唆(ターゲット)に対しダイレクトメールを送り購買率を計測、従来ターゲットとの効果比較

■検証期間

2024年10月~2025年1月

■結果

LITIRON MASが示唆したターゲットは従来ターゲットより購買率は3.0%向上

【今後について】

 JALカードとNTTデータは引き続きJALカードのマーケティング施策高度化を目的とした共同実証実験を繰り返し、マーケティング領域における生成AI活用の可能性を検討します。

 実証実験を繰り返す中で、生成AIのマーケティング領域での貢献や親和性が高いことが得られた際は、JALカードと異業種事業者との提携における、商品・サービス利用促進の本格展開に向けたビジネス検討を共に実施してまいります。

NTTデータグループが描く生成AI活用の未来

NTTデータグループは、積極的なAI活用の推進とガバナンスの両輪でお客さまのビジネス、当社のビジネスの変革を推進します。お客さまのビジネスでは、AIエージェントが指示に応じ自律的に対象業務のタスクを抽出・整理・実行する「SmartAgent™」の実現をめざします。当社のビジネスでは、ソフトウェア開発の大幅な生産性向上や実践的生成AI人財の育成を加速します。これにより、人手不足などの社会課題解決に貢献するとともに、人が付加価値の高い業務領域に注力できる世界を実現していきます。

(注1)LITRONⓇ Multi Agent Simulationの概要

    https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/073101/

(注2)ペルソナ:JALカード会員情報(属性・利用明細データ)を基に購買店舗・サービス・種別でクラスタリングを行い、クラスタごとに作成したデータ

(注3)JALカード特約店が販促する商品やサービスを購入したいと思うターゲットの特徴や販促DMの効果的なタイトルなど、マーケティング担当者が日頃テーマとするような事項を指します。

(注4)商品・サービスを訴求するターゲットやターゲットの特徴、訴求方法や訴求内容などを指します。

*「LITRONⓇ Multi Agent Simulation」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。

*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。