EY Japanのプレスリリース
・海外赴任者のコスト負担については、「出向元・出向先がそれぞれ一部負担」とする割合が34%と最も多い。
・現地での個人所得税申告漏れは19%が「発生経験あり」としており、特に「課税範囲の誤り」「日本払い給与等の申告漏れ」には注意が必要。
・個人的収入に対する課税・出国税(国外転出時課税)・赴任中に支給する退職金に対する課税に関しては、事例が少なく個別対応としているとの回答も多いが、投資環境、雇用環境の変化により今後発生が増える可能性が高いため、ルール作りの検討が重要。
EY税理士法人(東京都千代田区、統括代表社員 蝦名 和博)は、日本企業の海外赴任者に関する税務対応の実態を調査した「第7回EYモビリティサーベイ」を発表したことをお知らせします。今回は海外赴任者関連税務のうち「コスト負担/税・社保の管理体制/みなし税/税務ブリーフィング/夫婦合算申告/個人的収入に対する課税/退職金課税」について調査を実施しました。
本調査は、海外赴任者に関する税務の実態を明らかにすることを目的とし、2024年9~10月にかけて実施しました。主に企業の人事・経理・経営企画系を中心とした管理系部門に属する延べ240名(221社)の回答をもとに調査・分析を行いました。
第7回EYモビリティサーベイの調査結果:
コスト負担:
「出向元が赴任者コストを一部または全部負担している」と回答した企業159社のうち103社は、出向元が赴任者コストを負担する理由として「赴任先の給与水準と較差があるため」と回答しています。一方で、税務調査時に赴任者コスト負担に関し「指摘を受けた」とする割合が39%に上り、「較差補填(ほてん)が認められなかった」「出向先が負担すべき」と具体的に指摘を受けたケースも散見されます。海外における給与水準の上昇スピードは日本以上に速く、「較差補填」を理由として出向元がコスト負担を行う場合、実態と合っているかの検証が常に求められます。
現地での個人所得税・社会保険:
海外赴任者の個人所得税は「出向先がそれぞれ管理している」との割合が最も多く174名が回答しています。一方で全体の19%が現地での個人所得税・社会保険料の申告漏れが発生したことがあるとしており、指摘内容としては「課税範囲の誤り」「日本払いの給与・福利厚生を現地申告に含めていなかった」ことが多く挙げられ、対応を現地任せにすることのリスクが顕在化した形となりました。
みなし税:
82%が何らかの形で「みなし税」を給与控除していますが、年間でみなし税の精算を行う割合は3割以下にとどまります。グローバルの観点では、概算で控除するみなし税を年に一度精算すること(Tax Equalization)も広く行われており、導入を検討する日系企業も年々増えています。
夫婦合算申告:
赴任先の国に夫婦合算申告制度がある場合の制度利用の状況は、「現地に任せている」が42%ですが、「基本的に夫婦合算申告としている」は14%、「税務的に有利な場合は夫婦合算申告としている」は7%と、利用方針が決まっている企業も一定数います。赴任者の配偶者が現地就労を望むケースも近年は増えているため、夫婦合算申告制度利用の方針の明確化が必要になると見込まれます。
個人的収入に対する課税:
個人的収入への課税について、規程などに「特に記載はない」とする割合が70%と、大半が明文化していないことが明らかになりました。また実際に個人的収入に課税された場合の税金負担方法については、37%が「全額赴任者が負担」、32%が「ルールを決めていない(個別判断)」との回答ですが、赴任者の収入状況や現地申告の実態を会社が把握できておらず、実情が不明というケースもあるため、実態把握とともにルール作りの検討が望まれます。
出国税(国外転出時課税):
過半数が「ルールを決めていない(個別判断)」、「会社負担でのサポートも行っていない」と回答しましたが、給与以外の収入源を持つ赴任者の増加に伴い今後は対象者(国外転出時に1億円以上の対象資産を所有等している者)が増える可能性もあり、対応について慎重な検討が必要です。
赴任中に支給される退職金の現地所得税:
会社都合退職(定年退職含む)の場合と自己都合退職の場合では、赴任者に現地所得税を負担させる割合がそれぞれ4%、17%と開きがあります。また、現地所得税の発生を回避するために、日本帰任後に退職することを原則としたり、年金での支給を促したりと独自の工夫をするケースもあります。赴任中に退職し、帰任せずに現地で転職するケースも増えていることから、トラブル回避のために赴任中の退職について、アサインメントレター締結等で、会社と赴任者間で事前に合意形成を図ることも重要と思われます。
EY税理士法人 パートナー 藤井 恵(ふじい めぐみ)のコメント:
「今回は『海外赴任者にかかわる税務』について、『出向者コストの負担と日本での税務調査での指摘有無』『赴任国の個人所得税に関する管理体制および赴任国での申告漏れの有無』『海外赴任中の給与・手当以外の所得等についてかかる税金の負担』という観点で調査を実施しました。また、海外赴任中の日本の社会保険料の算定対象としている報酬の範囲についても併せて調査しています。
出向者コストについては、日本本社がその費用の一部を負担しているケースが多く見られます。この場合、3つのリスクがあります。1つ目は「日本の税務リスク」です。本来、出向者コストは出向先が負担する必要があるため、日本本社がその費用を一部でも負担している限り、法人税の税務調査で『国外関連者への寄附金』として課税される可能性があります。現地給与水準が上がるにつれ、『較差補填の考え方に基づく日本側が費用負担できる範囲』は小さくなります。
出向者コストを全額現地法人負担にしない限り、常に税務リスクが残るという認識が必要です。2つ目は『海外の税務リスク』です。赴任国がPE認定リスクの高い国の場合、日本本社が出向者コストを負担しているという事実をもって、『出向者は日本本社のPEである』と認定する可能性もあります。3つ目は『経営判断を誤るリスク』です。現地法人のために働く出向者のコストの一部または全部を本社負担している限り、現地法人の経営実態を正しい判断はできません。出向者コストを現地法人が全額負担した上で、現地法人の経営が成り立つ必要があるからです。本社が出向者コストを一部負担した状況で現法運営を続けることは、追加投資や撤退等の重要な経営判断を誤る可能性があります。
また、海外赴任者の赴任国における所得税については、現地法人任せの企業が多く、外資系グローバル企業が、税務プロバイダーを使って一元管理し税務リスク低減を行っている状況とは対照的です。赴任国での所得税の申告漏れも珍しくないことは本調査結果からも明らかです。税務調査で指摘されるまで申告漏れに気付かない場合、長い場合は10年前まで遡及され追徴課税されたという実例もあります。日本に帰任済みの社員の赴任中の所得に関する追徴税額を会社負担すれば、日本でも『給与』とみなされ課税されることになります。このように追徴税額によるコスト増はもちろんですが、後処理に係る社内人件費や会計事務所コストなども発生します。そのため、少しでも早い段階で申告漏れがないかの自主的な調査や修正申告の検討が必要です。しかしながら、そのような状況が発生しないためにも、一元管理等による申告漏れ低減策の検討など管理体制見直しが必要です。
一方、海外赴任中に発生する給与や手当以外に係る所得(退職所得、個人的所得、夫婦合算申告の下における帯同配偶者の所得等)についても赴任国で所得税の課税対象になる場合も少なくありません。この場合、当該所得税を誰が負担するかについて、明確なルールがない企業が多いようです。海外赴任者の個人所得税は、本人ではなく、会社が負担することが一般的ですが、これら個人的所得に対しては自己負担すべきと考えている企業が多くなっています。
本調査結果からわかるように、海外赴任者にまつわる税務対策および税金の最終負担者に関する明確なポリシー設定は多くの日本企業において、十分な状況であるとは言えません。にもかかわらず、本社経営者の関心が薄いのが実情であり、そのことがこの問題の根底にあります。このまま放置すれば日本や赴任国で、多額の追徴課税を受けるリスクがあります。日本の税務リスク対策はもちろんですが、赴任国の所得税について、現地任せにせず海外拠点運営上のリスク管理事項の一つとして、外資系グローバル企業や一部の日本企業のように、本社のマネジメント層も本件に関する重要性を理解し、本社側での管理体制構築を来年度の重点課題の一つに含めてはいかがでしょうか」
本調査結果に関する解説ウェブキャストを実施いたします。
<第7回EYモビリティサーベイ解説ウェブキャスト(オープンセミナー)>
日時:2025年1月23日(木)13:30~14:30
登壇者:EY税理士法人 パートナー 藤井 恵/ディレクター 羽山 明子 ほか
お申し込み:https://globaleysurvey.ey.com/jfe/form/SV_00cmTko1Cpq10Nw
調査結果の概要:
主な調査結果のポイントは、以下のEY Japanのウェブサイトから資料をダウンロードください。
EY調査、海外赴任者関連の税務対策の遅れが明らかに - 「第7回EYモビリティサーベイ」を発表:国内外200社以上の海外赴任者に関する税務実態調査 | EY Japan
<第7回EYモビリティサーベイ概要>
本調査は、海外赴任者・出張者・海外からの出向者の実態を明らかにすることを目的として定期的に実施しております。
目的:海外赴任者・出張者に対する処遇・税務等の実態調査・分析
テーマ:海外赴任者の税務(コスト負担/税・社保の管理体制/みなし税/税務ブリーフィング/
夫婦合算申告/個人的収入に対する課税/退職金課税)
実施期間:2024年9月4日(水)~24年10月18日(金)
回答者数:240名(有効回答数* :221社)
*同一企業から複数名ご回答いただいた場合は、以下の基準により代表回答を選定
1. 本社と現地子会社-本社の回答を優先
2. 人事系部署とそれ以外の部署-人事系部署からの回答を優先
3. 同一部署内より複数名のご回答-設問に対する有効回答数が多い方を優先
これまでの調査結果:
・第1回EYモビリティサーベイ
コロナ禍の一時帰国者処遇、利用できないベネフィット・残留赴任者の取り扱い、費用負担、赴任者総コスト、任地個人所得税
実施期間 第1回:2021年10月22日(金)~2021年11月26日(金)
EY調査、新型コロナウイルスの海外赴任への影響や赴任者コストに関する実態が明らかに
・第2回EYモビリティサーベイ
ビザ・水際対策・海外出張・外国籍社員の受け入れ
実施期間 第2回:2021年12月8日(水)~2022年1月17日(月)
EY調査、新型コロナウイルスの水際対策による企業活動への影響の大きさが鮮明に
・第3回EYモビリティサーベイ
海外赴任者の手当・給与・福利厚生・海外赴任者規程・海外出張時の二重課税
実施期間 第3回:2022年2月14日(月)~2022年3月31日(木)
EY調査、海外赴任者に関する処遇制度の見直し・再検討が急務に
・第4回EYモビリティサーベイ帯同する子の教育・帯同家族の就労・赴任前支度金
実施期間 第4回:2022年9月8日(木)~2022年10月14日(金)
EY調査、海外赴任時の帯同家族の就労状況、帯同する子の費用負担が課題
・第5回EYモビリティサーベイ海外赴任中の医療費・出産・子育てへのサポート体制・物価・為替変動への対応
実施期間 第5回:2023年9月12日(火)~2023年10月13日(金)
EY調査、海外赴任者の多様化進む、サポート体制の強化が急務に
・第6回EYモビリティサーベイ
海外出張、海外人事体制、国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメント
実施期間 第6回:2024年4月8日(月)~2024年5月31日(金)
EY調査、海外人事体制の強化、人員不足の解消が課題
補足資料:
第7回全調査項目は以下のEY Japanのウェブサイトからご覧ください。
EY調査、海外赴任者関連の税務対策の遅れが明らかに - 「第7回EYモビリティサーベイ」を発表:国内外200社以上の海外赴任者に関する税務実態調査 | EY Japan
・現地での個人所得税申告漏れは19%が「発生経験あり」としており、特に「課税範囲の誤り」「日本払い給与等の申告漏れ」には注意が必要。
・個人的収入に対する課税・出国税(国外転出時課税)・赴任中に支給する退職金に対する課税に関しては、事例が少なく個別対応としているとの回答も多いが、投資環境、雇用環境の変化により今後発生が増える可能性が高いため、ルール作りの検討が重要。
EY税理士法人(東京都千代田区、統括代表社員 蝦名 和博)は、日本企業の海外赴任者に関する税務対応の実態を調査した「第7回EYモビリティサーベイ」を発表したことをお知らせします。今回は海外赴任者関連税務のうち「コスト負担/税・社保の管理体制/みなし税/税務ブリーフィング/夫婦合算申告/個人的収入に対する課税/退職金課税」について調査を実施しました。
本調査は、海外赴任者に関する税務の実態を明らかにすることを目的とし、2024年9~10月にかけて実施しました。主に企業の人事・経理・経営企画系を中心とした管理系部門に属する延べ240名(221社)の回答をもとに調査・分析を行いました。
第7回EYモビリティサーベイの調査結果:
コスト負担:
「出向元が赴任者コストを一部または全部負担している」と回答した企業159社のうち103社は、出向元が赴任者コストを負担する理由として「赴任先の給与水準と較差があるため」と回答しています。一方で、税務調査時に赴任者コスト負担に関し「指摘を受けた」とする割合が39%に上り、「較差補填(ほてん)が認められなかった」「出向先が負担すべき」と具体的に指摘を受けたケースも散見されます。海外における給与水準の上昇スピードは日本以上に速く、「較差補填」を理由として出向元がコスト負担を行う場合、実態と合っているかの検証が常に求められます。
現地での個人所得税・社会保険:
海外赴任者の個人所得税は「出向先がそれぞれ管理している」との割合が最も多く174名が回答しています。一方で全体の19%が現地での個人所得税・社会保険料の申告漏れが発生したことがあるとしており、指摘内容としては「課税範囲の誤り」「日本払いの給与・福利厚生を現地申告に含めていなかった」ことが多く挙げられ、対応を現地任せにすることのリスクが顕在化した形となりました。
みなし税:
82%が何らかの形で「みなし税」を給与控除していますが、年間でみなし税の精算を行う割合は3割以下にとどまります。グローバルの観点では、概算で控除するみなし税を年に一度精算すること(Tax Equalization)も広く行われており、導入を検討する日系企業も年々増えています。
夫婦合算申告:
赴任先の国に夫婦合算申告制度がある場合の制度利用の状況は、「現地に任せている」が42%ですが、「基本的に夫婦合算申告としている」は14%、「税務的に有利な場合は夫婦合算申告としている」は7%と、利用方針が決まっている企業も一定数います。赴任者の配偶者が現地就労を望むケースも近年は増えているため、夫婦合算申告制度利用の方針の明確化が必要になると見込まれます。
個人的収入に対する課税:
個人的収入への課税について、規程などに「特に記載はない」とする割合が70%と、大半が明文化していないことが明らかになりました。また実際に個人的収入に課税された場合の税金負担方法については、37%が「全額赴任者が負担」、32%が「ルールを決めていない(個別判断)」との回答ですが、赴任者の収入状況や現地申告の実態を会社が把握できておらず、実情が不明というケースもあるため、実態把握とともにルール作りの検討が望まれます。
出国税(国外転出時課税):
過半数が「ルールを決めていない(個別判断)」、「会社負担でのサポートも行っていない」と回答しましたが、給与以外の収入源を持つ赴任者の増加に伴い今後は対象者(国外転出時に1億円以上の対象資産を所有等している者)が増える可能性もあり、対応について慎重な検討が必要です。
赴任中に支給される退職金の現地所得税:
会社都合退職(定年退職含む)の場合と自己都合退職の場合では、赴任者に現地所得税を負担させる割合がそれぞれ4%、17%と開きがあります。また、現地所得税の発生を回避するために、日本帰任後に退職することを原則としたり、年金での支給を促したりと独自の工夫をするケースもあります。赴任中に退職し、帰任せずに現地で転職するケースも増えていることから、トラブル回避のために赴任中の退職について、アサインメントレター締結等で、会社と赴任者間で事前に合意形成を図ることも重要と思われます。
EY税理士法人 パートナー 藤井 恵(ふじい めぐみ)のコメント:
「今回は『海外赴任者にかかわる税務』について、『出向者コストの負担と日本での税務調査での指摘有無』『赴任国の個人所得税に関する管理体制および赴任国での申告漏れの有無』『海外赴任中の給与・手当以外の所得等についてかかる税金の負担』という観点で調査を実施しました。また、海外赴任中の日本の社会保険料の算定対象としている報酬の範囲についても併せて調査しています。
出向者コストについては、日本本社がその費用の一部を負担しているケースが多く見られます。この場合、3つのリスクがあります。1つ目は「日本の税務リスク」です。本来、出向者コストは出向先が負担する必要があるため、日本本社がその費用を一部でも負担している限り、法人税の税務調査で『国外関連者への寄附金』として課税される可能性があります。現地給与水準が上がるにつれ、『較差補填の考え方に基づく日本側が費用負担できる範囲』は小さくなります。
出向者コストを全額現地法人負担にしない限り、常に税務リスクが残るという認識が必要です。2つ目は『海外の税務リスク』です。赴任国がPE認定リスクの高い国の場合、日本本社が出向者コストを負担しているという事実をもって、『出向者は日本本社のPEである』と認定する可能性もあります。3つ目は『経営判断を誤るリスク』です。現地法人のために働く出向者のコストの一部または全部を本社負担している限り、現地法人の経営実態を正しい判断はできません。出向者コストを現地法人が全額負担した上で、現地法人の経営が成り立つ必要があるからです。本社が出向者コストを一部負担した状況で現法運営を続けることは、追加投資や撤退等の重要な経営判断を誤る可能性があります。
また、海外赴任者の赴任国における所得税については、現地法人任せの企業が多く、外資系グローバル企業が、税務プロバイダーを使って一元管理し税務リスク低減を行っている状況とは対照的です。赴任国での所得税の申告漏れも珍しくないことは本調査結果からも明らかです。税務調査で指摘されるまで申告漏れに気付かない場合、長い場合は10年前まで遡及され追徴課税されたという実例もあります。日本に帰任済みの社員の赴任中の所得に関する追徴税額を会社負担すれば、日本でも『給与』とみなされ課税されることになります。このように追徴税額によるコスト増はもちろんですが、後処理に係る社内人件費や会計事務所コストなども発生します。そのため、少しでも早い段階で申告漏れがないかの自主的な調査や修正申告の検討が必要です。しかしながら、そのような状況が発生しないためにも、一元管理等による申告漏れ低減策の検討など管理体制見直しが必要です。
一方、海外赴任中に発生する給与や手当以外に係る所得(退職所得、個人的所得、夫婦合算申告の下における帯同配偶者の所得等)についても赴任国で所得税の課税対象になる場合も少なくありません。この場合、当該所得税を誰が負担するかについて、明確なルールがない企業が多いようです。海外赴任者の個人所得税は、本人ではなく、会社が負担することが一般的ですが、これら個人的所得に対しては自己負担すべきと考えている企業が多くなっています。
本調査結果からわかるように、海外赴任者にまつわる税務対策および税金の最終負担者に関する明確なポリシー設定は多くの日本企業において、十分な状況であるとは言えません。にもかかわらず、本社経営者の関心が薄いのが実情であり、そのことがこの問題の根底にあります。このまま放置すれば日本や赴任国で、多額の追徴課税を受けるリスクがあります。日本の税務リスク対策はもちろんですが、赴任国の所得税について、現地任せにせず海外拠点運営上のリスク管理事項の一つとして、外資系グローバル企業や一部の日本企業のように、本社のマネジメント層も本件に関する重要性を理解し、本社側での管理体制構築を来年度の重点課題の一つに含めてはいかがでしょうか」
本調査結果に関する解説ウェブキャストを実施いたします。
<第7回EYモビリティサーベイ解説ウェブキャスト(オープンセミナー)>
日時:2025年1月23日(木)13:30~14:30
登壇者:EY税理士法人 パートナー 藤井 恵/ディレクター 羽山 明子 ほか
お申し込み:https://globaleysurvey.ey.com/jfe/form/SV_00cmTko1Cpq10Nw
調査結果の概要:
主な調査結果のポイントは、以下のEY Japanのウェブサイトから資料をダウンロードください。
EY調査、海外赴任者関連の税務対策の遅れが明らかに - 「第7回EYモビリティサーベイ」を発表:国内外200社以上の海外赴任者に関する税務実態調査 | EY Japan
<第7回EYモビリティサーベイ概要>
本調査は、海外赴任者・出張者・海外からの出向者の実態を明らかにすることを目的として定期的に実施しております。
目的:海外赴任者・出張者に対する処遇・税務等の実態調査・分析
テーマ:海外赴任者の税務(コスト負担/税・社保の管理体制/みなし税/税務ブリーフィング/
夫婦合算申告/個人的収入に対する課税/退職金課税)
実施期間:2024年9月4日(水)~24年10月18日(金)
回答者数:240名(有効回答数* :221社)
*同一企業から複数名ご回答いただいた場合は、以下の基準により代表回答を選定
1. 本社と現地子会社-本社の回答を優先
2. 人事系部署とそれ以外の部署-人事系部署からの回答を優先
3. 同一部署内より複数名のご回答-設問に対する有効回答数が多い方を優先
これまでの調査結果:
・第1回EYモビリティサーベイ
コロナ禍の一時帰国者処遇、利用できないベネフィット・残留赴任者の取り扱い、費用負担、赴任者総コスト、任地個人所得税
実施期間 第1回:2021年10月22日(金)~2021年11月26日(金)
EY調査、新型コロナウイルスの海外赴任への影響や赴任者コストに関する実態が明らかに
・第2回EYモビリティサーベイ
ビザ・水際対策・海外出張・外国籍社員の受け入れ
実施期間 第2回:2021年12月8日(水)~2022年1月17日(月)
EY調査、新型コロナウイルスの水際対策による企業活動への影響の大きさが鮮明に
・第3回EYモビリティサーベイ
海外赴任者の手当・給与・福利厚生・海外赴任者規程・海外出張時の二重課税
実施期間 第3回:2022年2月14日(月)~2022年3月31日(木)
EY調査、海外赴任者に関する処遇制度の見直し・再検討が急務に
・第4回EYモビリティサーベイ帯同する子の教育・帯同家族の就労・赴任前支度金
実施期間 第4回:2022年9月8日(木)~2022年10月14日(金)
EY調査、海外赴任時の帯同家族の就労状況、帯同する子の費用負担が課題
・第5回EYモビリティサーベイ海外赴任中の医療費・出産・子育てへのサポート体制・物価・為替変動への対応
実施期間 第5回:2023年9月12日(火)~2023年10月13日(金)
EY調査、海外赴任者の多様化進む、サポート体制の強化が急務に
・第6回EYモビリティサーベイ
海外出張、海外人事体制、国をまたいだリモートワーク・バーチャルアサインメント
実施期間 第6回:2024年4月8日(月)~2024年5月31日(金)
EY調査、海外人事体制の強化、人員不足の解消が課題
補足資料:
第7回全調査項目は以下のEY Japanのウェブサイトからご覧ください。
EY調査、海外赴任者関連の税務対策の遅れが明らかに - 「第7回EYモビリティサーベイ」を発表:国内外200社以上の海外赴任者に関する税務実態調査 | EY Japan