家電・住宅設備機器等の修理費用上昇について 2024レポート

家庭に身近な製品の平均修理単価は軒並み上昇傾向 延長保証を活用することで突発的な支出や価格の変動に備えることが可能

テックマークジャパン株式会社のプレスリリース

 延長保証サービスの設計・運営を行うテックマークジャパン株式会社(本社:東京都墨田区 代表取締役社長:池西 桂 以下、「テックマークジャパン」)は、1994年に日本で延長保証事業を開始し、2024年8月で創業30周年を迎えました。長期間にわたり延長保証サービスを通じて数多くの修理に携わってきたことで、現在では家電製品や住宅設備など様々な製品の膨大な修理データを保有しています。

 今回は、当社が保有する修理データをもとに「西暦2000年以降の修理費用変動」及び「修理費用と延長保証の関係」について、解説します。

<主なトピックス>

■生活に身近な家電製品等の修理費用は軒並み上昇傾向(高額修理事例もご紹介)

■部品代、工賃、出張費の中では部品代の上昇率が最も高い

■消費者は延長保証を活用して修理費用の変動に備えることが可能

データについて

・対象データ :当社が保有する、2000年1月から2023年12月の間に実施された修理情報

・対象修理    :当社へ申請された修理のうち、延長保証の対象となる不具合

・カテゴリー :家電・住宅設備機器など電気的・機械的な製品群

・修理費用    :部品代、工賃、出張費を含む修理費用総額(消費税を含む)

※データをご利用いただく際は、必ず「※テックマークジャパン保有データより」と明記ください。

<はじめに>

 今回の調査により、様々な製品の修理費用は長期的にみて上昇傾向にあることが分かりました。製品の購入価格の上昇と同様に、製品購入後に発生するかもしれない「修理」の突発的な支出が上昇傾向にあることは、消費者・エンドユーザーの皆様の購買意欲に与える影響も大きく、様々な市場・業界にとって非常に重要な情報であると考えています。個別の要因について明確に言及することは難しいものの、当社が保有するデータの中から、修理費用の変動および高額修理事例を紹介させていただくことで、消費者・エンドユーザーの皆様が少しでも「修理」について意識いただける機会となりますと幸いです。なお、今回のレポートは、修理市場全体ではなく、あくまでテックマークジャパンが提供する延長保証の対象製品における修理に関する調査結果です。

【延長保証について】

延長保証とは、製品寿命のまで安心して製品を使いたいという消費者のニーズに応え、メーカー保証期間終了後、一定期間に発生した自然故障・不具合の修理を無償で行うサービスです。メーカーや販売店にとっても、サービス設計を工夫し適切な運営を行うことで、優良顧客を獲得・維持できるマーケティングツールとして活用されています。

<平均修理単価の推移>
 当社は、1994年に延長保証事業を開始して以降、30年の間に様々な製品群における数多くの修理案件に携わってきました。(累計修理精査件数:1,037万件 ※2023年12月末時点)
その中でも、家電・住宅設備といった家庭に身近な分野における、2000年以降の平均修理単価の推移を順番に紹介します。

・テレビ
 テレビの平均修理単価は、2000年時点の19,928円から2014年頃まではほぼ横ばいで推移していますが、2015年より急激に上昇し、2020年には6万円を超えています。そこから少し低下しますが、2023年時点で36,349円となっており、23年間で1.8倍も上昇しています。(図1)

市場の状況として、2013年頃からメーカー各社で液晶パネルのインチサイズを大型化する流れがあり、2017年は有機ELテレビ元年、つづく2018年は4K放送開始という流れがありました。テレビの大画面化ならびに高画質化、Android OS搭載などの多機能化が進んだことが修理費用に影響を与えた可能性が考えられます。

図1:テレビ平均修理単価 単位:円(税込)

集計対象:液晶、プラズマ、4K、有機ELなどテレビ全般(複数メーカー製品を含む)

・冷蔵庫
 冷蔵庫の平均修理単価は、2000年時点の11,679円から増減しながら微増しています。2023年時点で13,771円となっており、23年間で約1.2倍の上昇となっています。(図2)

 市場の状況として、特定低温室や急冷機能の制御を付加価値として備える高級機種が登場し、操作パネルの多機能化や付加機能が続々と追加されました。平均修理単価の上昇が緩やかであることから、物価や消費税の変動による部品代や技術料の定期的な更新が修理費用に影響を与えた可能性が考えられます。

図2:冷蔵庫平均修理単価 単位:円(税込)
集計対象:冷蔵庫全般(複数メーカー製品を含む)

・洗濯機
 洗濯機の平均修理単価は、2000年の12,910円から徐々に上昇し、2023年時点で20,449円となっており、23年間で約1.6倍上昇しています。(図3)

市場の状況として、この期間にドラム式洗濯機のシェアが大幅に拡大しました。ドラム式洗濯機は乾燥機能の高性能化が進み、縦型洗濯機よりも修理費用が1.5倍程度高くなる傾向にあります。これらに加え、操作パネルの高機能化が修理費用に影響を与えた可能性も考えられます。

図3:洗濯機平均修理単価 単位:円(税込)

集計対象:縦型、ドラム式、乾燥機能付含む洗濯機全般(複数メーカー製品を含む)

・ガス給湯器
 ガス給湯器の平均修理単価は、2010年時点の25,604円から2023年時点は40,978円となり、13年間で約1.6倍に上昇しています。(図4)

市場の状況として、2010年以降に排熱循環方式が採用され、給湯熱効率が大幅に向上しました。これに伴い関連部品が増えたことや、点検時期等を連携する自主制御機能が追加されたことが、変動に影響を与えている可能性が考えられます。

図4:ガス給湯器平均修理単価 単位:円(税込)
集計対象:ガス給湯器全般(複数メーカー製品を含む)

※ガス給湯器は2000年代のデータが乏しく、正確性を担保するため、2010年以降のデータ

・エアコン
 エアコンの平均修理単価は、2000年時点での13,991円から2023年時点で22,612円となっており、23年間で約1.6倍の上昇となっています。(図5)

市場の状況として、2010年以降に新冷媒R32が登場し、その制御機能が追加され、近年ではフィルターの自動清掃機能が標準搭載されるようになりました。これらの機能追加に加え、夏場の猛暑も修理単価に影響を与えている可能性が考えられます。

図5:エアコン平均修理単価 単位:円(税込)
集計対象:冷蔵庫全般(複数メーカー製品を含む)

 以上、製品によって変動に違いはあるものの、2000年時点の平均修理単価と比べるといずれも上昇していることが分かります。(表1)なお、個別の要因を明確に言及することは困難ですが、急激に変動している箇所はそれぞれ技術革新等による新製品や新機能の追加などが影響を与えている可能性が考えられます。なお、本レポート上のデータはあくまで当社が保有するデータに限定されるため、各製品の変動は市場動向だけでなく、当社が提供する延長保証制度の運用状況による影響も想定されます。

表1:カテゴリー別平均修理単価 5年毎の推移 単位:円(税込)

※2023年の金額÷2000年の金額(ガス給湯器のみ2010年の金額)

<修理費用の内訳>
 修理にかかる費用は大きく分けて①部品代②工賃③出張費(配送料)の3つに分類されます※。それぞれが原材料費や人件費、物流費など様々な要素の影響を受けて変動していることが想定されます。修理対応を行う各メーカー等も部品代や工賃テーブルの改定を数年に一度実施しており、販売価格と同様に修理費用にも随時反映されています。※内容によってその他諸経費が発生する場合があります。

 テックマークジャパンの住宅設備機器全般における修理データ上でも費用の上昇が顕著に表れており、部品代の平均は2010年時点の4,936円から2022時点では11,293円となっており、13年間で約2.3倍上昇しています。また、部品代ほどではないものの、工賃や出張費の平均価格も同様に1.5倍以上上昇しており、全体として上昇傾向にあることがわかります。(図6)(表2)

図6:住宅設備機器における各費用平均の変動 単位:円(税別)

集計対象:給湯器、エアコン等の住宅設備機器全般

表2:住宅設備機器の修理費用内訳推移 単位:円(税別)

集計対象:給湯器、エアコン等の住宅設備機器全般
※2023年の金額÷2010年の金額

<高額修理事例紹介>
 前段でご紹介した修理費用の変動はあくまで平均修理単価であり、症状や故障部位によっては非常に高額な修理となるケースもあります。当社が保有する修理データの中から一部の高額修理事例を紹介します。 (表3)

表3:高額修理事例 単位:円(税込)
※いずれも製品交換ではなく修理として対応した事例

修理金額は、症状や故障部位に影響を受けることはもちろんですが、複雑な構造を有した高機能で販売価格も高額な製品は、修理費用も高額になる可能性が高いと想定されます。消費者の皆様が製品を購入する際には、のちに発生するかもしれない修理費用も考慮して検討いただくとよいかもしれません。

<修理費用と延長保証>
 消費者目線で考えると、突発的に発生する故障に対する修理費用が上昇していることは、製品購入を検討する際の大きな不安材料となります。また、前段で紹介したような高額な修理費に不安を感じた消費者は、購入を検討していた商品からより安い商品へ変更することや購入自体を控えてしまうことに繋がるかもしれません(表3)。消費者の購買意欲や購入単価が低下することは、メーカーや販売店の皆様にとっても大きな影響を与えることになります。
 一方で、延長保証をうまく活用いただくことで突発的で高額な出費に備えることが可能です。一般的な延長保証サービスでは、製品購入価格を限度に修理を受けられるため、前述のような高額修理であっても自己負担が発生することなく、安心して製品を長期間使用することができます。また、製品を提供するメーカーや販売店側にとっても、消費者に安心を提供しつつ他社と差別化を図ることに繋がります。
※症状によっては延長保証の対象外となるケースもあります。ご加入いただくサービスの保証範囲をご確認ください。

表4:延長保証のメリット

<まとめ>

 今回の調査により、様々な製品の修理費用が上昇傾向にあることが分かりました。修理費用は様々な市場の影響を受けるため、明確に要因を特定、言及することは困難ですが、上昇傾向にあることは消費者・エンドユーザーの皆様の購買意欲に対して大きな影響を与えていることが想定されます。
 突発的な高額修理を含め、修理費用の上昇・変動に対して、延長保証を活用することで事前に備えることは可能です。現在では、購入から10年間などの長期保証も市場に浸透してきており、長期的な修理費用の変動にも備えることができます。消費者の皆様には、数年後の買替えまでの間は安心安全に製品をお使いいただけるよう、ぜひ延長保証をうまく活用いただけますと幸いです。

 テックマークジャパンは、延長保証事業を通じて、“住み続けられるまちづくりを”(SDGs 11)および“つくる責任 つかう責任”(SDGs 12)を意識し、「安心・安全な住環境づくり」や「環境保全」に取り組み、消費者の皆様およびクライアント、関連パートナー企業の皆様にとって最適な延長保証サービスの設計・運営を継続するとともに、消費者・エンドユーザーの皆様が安心安全に製品を使い続けられるよう、今後とも有用な情報提供に努めてまいります。

テックマークジャパン株式会社 会社概要

所在地:東京都墨田区錦糸3-2-1 アルカイースト

資本金:4億9,000万円

代表取締役社長:池西 桂

株主:AIGジャパン・ホールディングス株式会社(100%)

主な事業:各種延長保証制度のコンサルティングと運営

URL: https://www.techmark.co.jp/

AIG グループ(ニューヨーク証券取引所銘柄:AIG)は、世界の保険業界のリーダーであり、約190の国や地域で、法人および個人のお客さまの資産を守り、リスクマネジメントをサポートするための保険ソリューションをAIGとその協力パートナーを通じて提供しています。

日本では、AIG損害保険株式会社、アメリカンホーム医療・損害保険株式会社、ジェイアイ傷害火災保険株式会社、AIGパートナーズ株式会社、テックマークジャパン株式会社などが事業を展開しています。