一般財団法人 社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブのプレスリリース
ドイツの法律下で設立された独立非営利の会員組織であるValue Balancing Alliance(VBA*1)と日本の一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(SIMI*2)は、このたび、日本における「インパクト会計」を次のステージに引き上げるパートナーシップの証としての提携覚書を締結しました。両組織は、日本の企業(金融機関や事業者)に情報提供を行うイベントの開催や、共同研究プロジェクトの支援を通じて、日本企業の「インパクト会計」理解促進や導入支援において協働します。
「インパクト会計」とは、組織が社会にもたらす正負のインパクトを数値化・貨幣価値換算し、財務諸表に組み込む一連の方法論です。
SIMIは、VBAとの提携に基づき、日本企業・金融機関に対し、International Foundation for Valuing Impacts(IFVI*3)、VBA、およびそのパートナーによって共同開発・標準化された「インパクト会計」手法に関する情報提供および助言を行うための優先的な窓口としての役割を担います。また、VBAの研究プロジェクトへの参加の可能性についても案内を行います。
VBAのCEOであるクリスチャン・ヘラー氏は、日本政府の強力な支援のもと、日本におけるインパクトの測定と評価の勢いが高まっていることに注目しています。「インパクトエコノミーは、持続可能な価値創造とパフォーマンスに関する新しい理解を求めています。財務資本に加え、自然資本、社会資本、人間資本も考慮する必要があります。インパクト会計に関する国際的な進展は、日本政府が推進するインパクトコンソーシアムの目標を推進するための重要な要素となります。私たちは、SIMIと協力して日本でインパクトを試行し、主流化することを楽しみにしています」と述べています。
SIMIの代表理事である今田克司は、日本の金融機関および企業が、インパクト会計のさらなる発展過程に参画することの重要性を強調しています。「インパクト会計はすでに包括的なフレームワークを提供していますが、日本において先進的な取組を行う企業がそのメリットを最大限に享受するために、インパクト会計の概念や実践の成長に深く関わる余地がまだ大きくあります。SIMIは、インパクトファイナンスを次のステージへと進めるこの国際的な動きへの橋渡しをすることを嬉しく思います」と述べています。
また、渋澤健氏(シブサワ・アンド・カンパニー創設者、GSGインパクトジャパン会長、インパクトコンソーシアム副会長)は、両組織のアドバイザーまたは評議員として密接に関わっており、このパートナーシップを心より歓迎しています。「インパクト会計のコンセプトは、財務パフォーマンスにとどまらず、従来の手法では置き去りにされてきた外部性(環境問題や社会問題)の解決策を統合し、持続可能な企業価値を表現する多次元的なアプローチであり、日本の多くの企業や金融機関が強い関心を示しています。このパートナーシップをきっかけに、より良い世界のための企業価値創造を表現するというイノベーションであるインパクト会計への関心と参加の扉がさらに開かれることは間違いないでしょう。」と述べています。
(*1) Value Balancing Alliance(VBA)は、意思決定者が意識的に行動できるよう、企業パフォーマンスの測定と評価方法を変革することを目指し、ドイツの法律の下で設立された独立した非営利の会員組織です。この目標を達成するため、VBAはInternational Foundation for Valuing Impacts(IFVI)と共にインパクト会計手法を開発し、その手法をメンバーと共にテストし、政策立案者やフレームワーク設定者に対して提唱しています。
(*2) 一般財団法人 社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(SIMI)は、日本における多様なステークホルダーの協力による取り組みであり、非営利団体や企業、資金提供者と資金仲介者、政府機関、仲介支援組織やシンクタンク、評価者および研究者などで構成されています。マルチセクターの取り組みを通じた社会的インパクトマネジメントの推進プラットフォームで、2024年9月時点で、約370の団体と個人がSIMIのメンバーとなっています。SIMIは、2016年に日本における社会的インパクト測定の推進を目的に設立されました。
(*3) International Foundation for Valuing Impacts (IFVI)は、ハーバード大学を中心に2019年より研究が進められてきたインパクト加重会計(IWA, Impact-Weighted Accounts)を発展させ、米国の非営利法人として2022年に発足した民間組織です。IWAの議長を務めたロナルド・コーエン卿がIFVI理事会の暫定議長を務め、IWAの元共同議長であるジョージ・セラフェイム教授が、研究と方法論の開発を監督するIFVI評価技術・実務者委員会の委員長を務めています。