チューリッヒ大学とロベコの新たな共同研究で、サステナブルな企業ほど不祥事に関与する可能性が低いことが判明

ロベコ・ジャパン株式会社のプレスリリース

2024年9月6日: ロベコとチューリッヒ大学は新たな研究論文において、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にプラスに貢献している企業は、将来的に、汚職や不正行為、環境汚染などの不祥事に巻き込まれる可能性が低いという調査結果を発表しました。また、こうしたサステナブルな企業は実際に不祥事が少なく、不祥事に関与した場合もその深刻度は軽微であり、論争となるような問題に影響を及ぼす事例も少ないことが分かりました。ロベコとチューリッヒ大学は、Walter Farkas教授を調整役として協働関係を締結しており、この協働の下、チューリッヒ大学の博士課程に在籍するAnna Vasilevaを中心に、企業のサステナビリティと不祥事との関連性を調査した研究論文を発表しました。この研究では、SDGsへの貢献度を投資戦略に組み入れることは、サステナビリティ面のパフォーマンス向上につながるだけでなく、投資リターン目標にも寄与するという結果が得られました。

本調査では、ロベコのSDGスコアを用いて企業のSDGsに対する適合状況を測定しています。調査対象となった各企業には、SDGsに対する貢献度に基づき、-3(マイナスの影響が大きい)から+3(プラスの影響が大きい)までの範囲でスコアが付与されます。調査では、SDGスコアが1ポイント改善するごとに、企業が翌年に不祥事に関与する確率が2%低下することが分かりました。さらに、SDG スコアが1 ポイント改善すると、該当する企業の不祥事件数は 11%減少しています(1 社当たりの年間の不祥事件数で 0.44 件の減少に相当)。この傾向は、より深刻な不祥事において顕著に見られました。SDG スコアが 1 ポイント改善するごとに、翌年に深刻な不祥事が発生する確率は平均 17%減少しています。

こうした調査結果は、異なる業界に属する企業のサステナビリティ面のパフォーマンスの違いにより説明がつきます。石油開発・石炭採掘など、資源集約的でサステナビリティ水準が低い業界ほど、不祥事に発展しかねない事故が発生する可能性が高まります。また、これらのセクターは社会的な注目を集めやすい傾向にあり、厳しい監視の目にさらされる企業ほど、不祥事が発生する可能性も上昇します。この調査結果を導くのに寄与したのがエネルギーや公益事業セクターの企業です。当該セクター内でSDGスコアが低い企業は主に化石燃料関連事業に従事している一方、スコアが高い企業は再生可能エネルギー事業を積極的に展開しています。

これらの調査結果は、投資リターンの観点からもサステナビリティの観点からも重要な意味を持ちます。不祥事に関与した企業は通常、ステークホルダーの信頼を失うだけでなく、長期的な評判の悪化や財務上の悪影響も被ります。投資ポートフォリオにおいてSDGsへの適合状況を考慮すれば、不祥事に関与する企業に投資する確率を低減することができます。これにより投資家は、不祥事に付随する環境や社会的悪影響へのエクスポージャーを減らすだけでなく、投資先企業で不祥事が発生することによる投資リターンへの悪影響も低減することができます。

チューリッヒ大学博士課程に在籍するAnna Vasilevaは次のように述べています。「この研究は、サステナブル投資に関する議論をさらに前に進めるものです。サステナブル投資の勢いはかつてなく高まり、投資判断におけるサステナビリティ関連情報の重要性は広がりを見せています。そうした状況の下、SDGsをベースに企業のサステナビリティを測定する新たな評価基準が、不祥事の回避に有効であることを認識することは重要です。これは投資家にとって、サステナビリティと投資の両面でパフォーマンスを下支えするものとなります」。

 

ロベコのSDGストラテジストであるJan Anton van Zantenは次のように語っています。「国連のSDGsとの整合性が高い企業は、将来的に不祥事を起こす可能性が低いことが明らかとなりました。これは投資家にとって無視できない必須事項です。企業の不祥事は市場価値に悪影響を及ぼし、多くの場合、社会や環境にもマイナスの影響を与えます。したがって、SDGsへの適合状況を考慮した投資を行うことで、投資家は投資とサステナビリティ双方の目標を推し進めることができるのです」。

 

チューリッヒ大学で金融経済学教授を務めるThorsten Hens博士は、次のように述べました。「学術界と金融業界は協調して効果的な金融モデルの共通理解を深めるべきです。このたびのチューリッヒ大学とロベコの共同研究は、異なる分野の専門家が集結して、サステナブル投資の分野に、幅広い実用的な応用が見込まれる新たな洞察とデータをもたらした好例となるでしょう」。

論文(英文)のダウンロードはこちらから:https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4925213

 

ロベコとチューリッヒ大学の協働締結の詳細については、プレスリリース(英文)をご覧ください。

当文書は、オランダ・ロッテルダム/スイス・チューリッヒで2024年9月5日に発表されたプレスリリースの日本語版です。


ロベコについて

ロベコは、1929年に設立された専業のグローバルな資産運用会社です。世界に16拠点を構え、オランダのロッテルダムに本社を置いています。1995年よりサステナブル投資を世界的にリードし、サステナビリティ、ファンダメンタル、およびクオンツ分野のリサーチを融合させることにより、機関投資家、個人投資家双方に対し、広範にわたる資産クラスを網羅した、幅広いアクティブ運用戦略を提供しています。2024年3月31日現在、ロベコ単体の運用資産総額は1,940億ユーロ(約31.71兆円*)であり、そのうち1,900億ユーロにESG要素が統合されています。ロベコは、オリックス・コーポレーション・ヨーロッパN.V.の子会社です。ロベコの詳細は、こちらをご覧下さい:www.robeco.com

 

ロベコ・ジャパン株式会社はロベコの日本法人で、2013年9月に設立。

 

* 1ユーロ=163.4526円で換算


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