東洋証券株式会社(東証プライム:8614)への株主提案について

東洋証券の企業価値向上に向けて、増配、取締役選任を含む6つの株主提案。

UGSアセットマネジメント株式会社のプレスリリース

2024年4月25日

各位

サンシャインF号投資事業組合

業務執行組合員

UGSアセットマネジメント株式会社

代表取締役 植頭 隆道

東洋証券株式会社(東証プライム:8614)への株主提案について

東洋証券株式会社(以下「東洋証券」といいます。)の株主であるサンシャインF号投資事業組合業務執行組合員UGSアセットマネジメント株式会社(以下「提案株主」といいます。)は、6カ月前から引き続き300個以上の議決権を有する株主であるところ、会社法第303条第2項並びに第305条第1項及び会社法施行規則第93条に基づき、東洋証券第102回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)につき、株主提案権を行使しましたので、下記の通り公表致します。

【提案する議題】

1 定款一部変更(剰余金の配当等)の件

2 剰余金の処分の件

3 定款一部変更(PBR1倍以上を目指す計画の策定・開示)の件

4 定款一部変更(不動産の賃貸及び管理業務の削除)の件

5 取締役5名選任の件

6 取締役の報酬減額の件

【提案議案の要領及び提案の理由】

1 定款一部変更(剰余金の配当等)の件

(1) 議案の要領

東洋証券の定款第48条を、次のとおり変更する。

(下線は変更部分を示します。)

    

[現行定款]

第48条(剰余金の配当等)

当会社は、取締役会の決議によって、会社法第 459条第1項各号に掲げる事項を定める。 

2.当会社は毎年3月31日の最終の株主名簿に記載または記録されている株主または登録株式質権者に対し金銭による剰余金の配当を行う。 

3.当会社は、会社法第459条第1項各号に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない。

4.配当金は、支払開始の日から満3か年を経過したときは、当会社は、その支払の義務を免れるものとする。

5.配当金には利息を付さない。

[変更案]

第48条(剰余金の配当等)

当会社は、取締役会の決議によって、会社法第 459条第1項各号に掲げる事項を定めることができる

2.当会社は毎年3月31日の最終の株主名簿に記載または記録されている株主または登録株式質権者に対し金銭による剰余金の配当を行う。

(削除)

3.配当金は、支払開始の日から満3か年を経過したときは、当会社は、その支払の義務を免れるものとする。

4.配当金には利息を付さない。

(2) 提案の理由

東洋証券においては、定款の定めにより、剰余金の配当等の決定は、取締役会のみに権限があり、株主総会では、一切これを決定することができません。これは、剰余金の配当等についての株主の権利を過度に制限するものであり、株主から株主総会での剰余金の配当等に関する提案を行う権利までも奪う必要はありません。東洋証券のコーポレートガバナンスに関するガイドライン第2条第2項は、東洋証券は「株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。」ことを東洋証券の基本的な考え方とすることを定めていますが、定款第48条第3項は、この考え方とも矛盾します。

よって、剰余金の配当等の決定を取締役会の決議によって定めることができることに加え、株主からの提案がある場合には、株主総会の決議によっても定めることができるよう、定款を変更するべきです。

 

 

2 剰余金の処分の件

(1) 議案の要領

定款一部変更(剰余金の配当等)の件が承認可決されることを条件に、剰余金の処分を以下のとおりとする。本議案は、本定時株主総会において東洋証券取締役会が剰余金の処分の件を提案する場合には、同議案とは独立して追加で提案するものである。

ア 配当財産の種類

金銭

イ 配当財産の割り当てに関する事項及びその総額

金36円から本定時株主総会に東洋証券取締役会が提案し本定時総会において承認された東洋証券普通株式1株当たり剰余金配当金額を控除した金額(本定時株主総会において東洋証券取締役会が剰余金の処分の件を提案しない場合には金36円)

ウ 配当財産の割り当てに関する事項及びその総額

東洋証券普通株式1株につき上記イの1株当たり配当額(配当総額は、1株当たり配当額に2024年3月31日現在の東洋証券発行済み普通株式総数(自己株式を除く。)を乗じて算出した金額)

エ 剰余金の配当の効力が生じる日

本定時株主総会の日

オ 配当金支払開始時

本定時株主総会の日の翌営業日から起算して、3週間後の日

(2) 提案の理由

PBR1倍以上を目指すための具体的な施策の一つとして、配当の割合を増やすことを提案します。

東洋証券の2023年3月期における自己資本比率は51.6%であり、それ以前も50%前後の高い水準を維持しています。また、証券業に係る自己資本規制比率についても、2023年3月期は624%、それ以前についても600%前後を維持しており、高い水準にあります。このように、東洋証券は、現金資産を十分すぎる程度に保有していると言えます。

東洋証券が有効に資産を活用せず、不動産賃貸業を始めて赤字を出し続けていることは、「定款一部変更(不動産の賃貸及び管理業務の削除)の件」の提案理由において述べるとおりであり、資産を無意味に減らし続けるよりも、株主に還元すべきであると考えます。

そこで提案株主は、2024年3月期については、DOE8%に相当する額の1株あたり金36円の配当を提案します。なお、提案株主は、中期経営計画の残り期間である2024年3月期から2026年3月期までの配当総額も、DOE8%に相当する額にすべきであると考えています。

東洋証券の純資産は、2023年12月の時点で362億39百万円あり、DOE8%の場合の配当総額の近似値である29億円の3年分である87億円相当の現金を配当に回しても、概算で純資産は約275億円残り、東洋証券の自己資本比率は40%を維持し、自己資本規制比率も概算で425%を維持できます。証券業務の執行や顧客保護に問題は生じず、十分に許容できる範囲内です。

配当を厚くすることにより、株価上昇の効果が期待でき、PBR1倍以上を目指すうえでの具体的な施策の一つとなり得ます。

 

 

3 定款一部変更(PBR1倍以上を目指す計画の策定・開示)の件

(1) 議案の要領

東洋証券の定款に、次のとおり第49条を新設する。

[新設案]

第49条(PBR1倍以上を目指す計画の策定・開示)

当会社は、取締役会において、当会社の資本コスト及び資本収益性の内容並びにこれに対する市場評価に関して、分析および評価を行う。

2. 取締役会は、当会社の前事業年度中の東京証券取引所における最終取引日時点のPBR(当会社の普通株式の株価を当会社の1株当たり連結純資産(発行済株式数から自己株式数を控除するほか、企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」に従い算定した数値をいう。)で除して算定した数値をいう。)が1倍未満である場合、PBRが1倍以上となるために合理的に必要と考えられる経営計画(具体的な数値目標と定量的な効果予測を含むものとする。)を策定し、当事業年度の第2四半期決算発表日までに東京証券取引所の運営する適時開示情報伝達システムを通じて公表する。

3. 取締役会は、前項の計画に基づき、資本コスト及び株価を意識した経営を推進するとともに、株主との積極的な対話を実施する。

(2) 提案の理由

東京証券取引所(以下「東証」といいます。)は、2023年3月末に、プライム市場/スタンダード市場の全上場企業に向け、資本コストを上回る資本収益性を達成するための計画の策定と、その計画を現状評価とあわせて、投資者に分かりやすく開示すること等を求めました。またそこでは、資本コストを上回る資本収益性を達成できていても、PBRが1倍未満である場合には、成長性が投資者から評価されていないものと示唆されるとの指摘があります。

東洋証券は、桑原代表取締役の就任以後、PBRが1倍未満であるにも関わらず、2024年4月24日の時点で、東証が求めるこのような計画を一切開示しておりません。証券市場に深くかかわる証券会社として模範を示さなければならない立場にありながら、東証の要請に応じないのは、怠慢であると言わざるを得ません。

そこで、提案株主は、資本コストを上回る資本収益性を達成しかつPBR1倍以上を目指す計画の策定と、その計画を現状評価とあわせて投資者にわかりやすく開示し、計画に基づく経営を行うことを明確にするため、定款に上記のとおりの規定を新設することを提案します。

また、東洋証券が定めるPBR1倍以上を目指す計画については、具体性が必要です。東洋証券の現在の中期経営計画については、説明や具体性が欠けるところが多々あります。例えば、中期経営計画は2023年10月に見直しが行われ、見直しの理由のなかで新型コロナウイルス感染やロシア・ウクライナ間の紛争が挙げられていますが、具体的にこれらの事象により東洋証券にどのような影響があったのか、関連するプレスリリースでは説明がありません。このような説明では、ただ単に、当初の期限までには目標を達成できる見込みがなかったところ都合よく新型コロナウイルスの流行や紛争が生じたので、それを理由に期限を延長した、そして、市況の好転や政府のNISA拡充政策の実施により見栄えのいい数値が出せそうだと考えたので目標の数値を上げたのではないかという疑念が残ります。中期経営計画に具体的な数値による説明がない点も、疑問があります。「営業収益」について「135億円」の目標はありますが、この「営業収益」とはいわゆる売上高であって営業利益を指すものではないと考えられるところ、販管費等の数値見込みが示されておらず、どれだけの最終利益がでることが予測されるのか示されていません。この記述では、なぜ、これにより東洋証券がROE5%を達成すると言えるのかが、理解できません。

このような中期経営計画は再度見直されるべきであり、この見直しの意味も含めて、PBR1倍以上を目指すための計画については、数値目標とそれを達成するための施策の定量的な効果についての予測を含む具体的な内容が策定され、開示されるべきです。

 

 

4 定款一部変更(不動産の賃貸及び管理業務の削除)の件

(1) 議案の要領

東洋証券の定款第2条を、次のとおり変更する。

(下線は変更部分を示します。)

    

[現行定款] 

第2条(目的)

当会社は、次の業務を営むことを目的とする。

1. 金融商品取引法に規定する金融商品取引業

2. 不動産の賃貸および管理業務

3. 前各号に付帯または関連する業務

[変更案]

第2条(目的)

当会社は、次の業務を営むことを目的とする。

1. 金融商品取引法に規定する金融商品取引業

(削除)

2. 前各号に付帯または関連する業務

(2) 提案の理由

東洋証券は、相場環境の好転により2024年3月期こそ利益を確保できたものの、2023年3月期までは赤字を繰り返し、純資産額を減らし続けてきました。このように本業である金融商品取引業がままならない中、東洋証券は、2022年3月に広島県広島市中区所在の賃貸用不動産(以下「本件不動産」といいます。)を2,587百万円で取得するとともに、2022年6月28日開催の第100回定時株主総会において、定款の事業目的に「不動産の賃貸および管理業務」を追加する旨の定款変更議案を付議して承認可決しました。

しかし、本件不動産については、購入の翌事業年度である2023年度3月期において、888百万円もの巨額の減損損失を計上するに至っております。また、本件不動産に関する賃貸事業損益は、2022年3月期連結会計年度において△2百万円、2023年3月期連結会計年度において△21百万円となっています。

提案株主は、本件不動産の取得の経緯について疑問を抱き、取締役会議事録の閲覧謄写を請求するほか、東洋証券に対し再三にわたり質問を重ねてきましたが、東洋証券が本件不動産を取得した経営判断が妥当であると納得するだけの合理的な回答は得られませんでした。

これに加え、現在、本件不動産に係る業務執行は、不動産賃貸業とは関係の無い支店等を含めた不動産管理を所管する総務部担当役員が担っていると伺っています。また、東洋証券の2023年3月期有価証券報告書の「事業の状況」の項目には、不動産賃貸業の記載が見当たりません。

以上から、東洋証券には不動産賃貸業を遂行する能力及び意欲が欠如しており、このまま不動産賃貸業を継続しても、赤字を出し続け純資産額を減らし、株主価値を棄損するだけであると見込まれることから、不動産賃貸業から撤退するすため、定款の目的事項から「不動産の賃貸及び管理業務」を削除することを提案します。

5 取締役5名選任の件

(1) 議案の要領

 山口龍之介氏、野口泰幸氏、大武孝志氏、有光慶成氏及び山縣敦彦氏を取締役に選任する。

(2) 提案の理由

東洋証券の取締役は、提案株主からの質問に対して真摯に対応せず、株主への説明が欠けるなど、株主軽視の態度が目立ちます。このような、外部からの意見を拒む閉鎖的な経営を東洋証券は続けてきました。

また、桑原代表取締役は、2017年4月に代表取締役に就任し、岡田取締役は2017年4月に常務取締役に就任し、2018年4月に専務取締役に就任しています。そして、2017年4月以降、両名が主導して経営にあたっているその間、東洋証券においては、2019年3月期に41億円、2020年3月期に19億円、2023年3月期には購入したばかりの賃貸用不動産等の減損損失23億円を含め38億円と、多額の純損失を出しています(いずれも包括利益)。その結果、2017年3月に411億45百万円だった東洋証券の純資産額は、2023年3月期には342億00百万円と、およそ70億円も減少することとなりました。現経営陣には、もはや株主価値の向上を期待することはできません。

また、社外取締役についても、経営陣の経営における失敗を放置し、経営陣に対する監督責任を果たせていないと言わざるを得ず、ガバナンス不全の状態が続いています。

そこで、提案株主は、会社提案にかかる全ての取締役の選任議案に反対するとともに、本議案において、全ての取締役に代わる者として、新たに5名の取締役を選任することを提案します。

本議案において提案する取締役候補者は、金融機関での豊富な経験と人脈を有し、また専門的な知見から経営手腕を発揮できる人材であり、東洋証券の株主価値の向上に資するものと考えています。各人の略歴については本リリースでは省略致します。

6 取締役の報酬減額の件

(1) 議案の要領

会社提案にかかる取締役の選任議案が承認可決されることを条件に、2024年6月から任期満了までの取締役の月例報酬及び賞与の上限を、合計で1億18百万円とする。

(2) 提案の理由

桑原代表取締役と岡田取締役が主導して経営にあたっている期間、2017年3月に411億45百万円だった東洋証券の純資産額は、2023年3月期には342億00百万円とおよそ70億円減少し、東洋証券の主な経営陣が、東洋証券の株主価値を棄損し続けてきたことについては、「取締役5名選任の件」の提案理由で述べたとおりです。

その一方で、桑原代表取締役が就任して以降の2018年3月期から2023年3月期までの取締役(社外取締役を除く)の報酬総額の合計は、9億57百万円であり、一人当たりの報酬の合計は、1億57百万円になります。

このような報酬額は、株主価値を70億円減少させた経営責任に値するとは考えられません。そのため、提案株主は、株主として、現経営陣に対し、役員報酬カットを含む経営責任の方針について複数回質問をしてきましたが、東洋証券からは「今後の業績によっては」「当然ありうる」「適正な審議を経て決定している」といった極めて抽象的な形だけの回答しかありませんでした。また、経営責任を負う場合に関する基準や考え方については「あらかじめ定めていない」とのことです。

以上の状況から言えるのは、これだけの損失を出しても高額の報酬を取り続ける現経営陣は、自らは経営責任をとる意思がないということ、そして、現経営陣には、自らの力ではこの点を改善することができないということです。

同業他社であるアイザワ証券グループ株式会社は、2023年3月期の業績が悪化したことを踏まえ、経営責任を明確にするため、代表取締役の報酬を40%減額しました。そこで、東洋証券は、桑原代表取締役及び岡田取締役を含む現経営陣を引き続き取締役候補者とすることが想定されることから、これを踏まえて、社外取締役を除く取締役の過年度業績に対する経営責任を明確にする観点から、社外取締役以外の取締役の報酬を約30%減額することを目的として、2024年度の取締役の月額報酬及び賞与の上限を1億18百万円とすることを提案します。この上限金額は、2023年3月期の取締役(社外取締役を除く)の報酬の支払総額が1億47百万円であること、これを約30%減額した額は1億3百万円であること、2023年3月期における社外取締役の報酬総額は1名当たり5百万円であったことを踏まえて提案するものです。

以上

本開示は、東洋証券の株主のために情報を提供するという目的で行うものであり、提案株主は、東洋証券の他の株主の皆さまに対して提案株主と共同で株主権(議決権を含みますがそれに限りません)を行使していただきたいと依頼、または要請しているわけではありません。

また、本提案に含まれる情報は、提案株主が信頼できると判断した情報源から得たものです。提案株主は、本開示に掲載する情報の正確性を確保するために合理的な注意を払っておりますが、その正確性、完全性および 信頼性について明示・黙示にかかわらず一切の表明・保証をするものではありません。