インベスコ・アセット・マネジメント株式会社のプレスリリース
2024年の市場見通しとなる「バランシング・アクト(綱渡り)」では、各国の金融政策当局がインフレとの闘いに明け暮れてから2年ほど経過した今、今後の見通しとして、私たちは成長の持続性とインフレにおける粘着性のバランスに焦点を当てており、金融引き締め策のラグが長期にわたり、かつ可変的であることにより、2024年もディスインフレが続き、上半期に景気減速が起こるものの、下半期には景気回復に向かうと予想しています。
また、「2024年上半期 規制・政治の見通し」では、私たちは、2022年のウクライナ紛争と持続的なインフレの出現が、2023年の地政学的、経済的話題の大部分を形成したのを目の当たりにしたことから、今日、イスラエルとハマスの対立が激化し、米中が新たな「競争的協力関係」に落ち着き、ウクライナ紛争が長引く中で、2024年もグローバル経済及び政治の不確実性が重要な役割を果たすことになると考え、2024年について考える上での枠組みをご提供できるよう努めました。
米国、欧州、英国、アジア・太平洋地域で起こりうる政治的変化を探り、財政・地政学的見通しを提供し、人工知能(AI)、ファンドの流動性、ESGに関する政策や規制の動向について掘り下げました。地域間で共通するテーマがある一方、地域ごとに大きく乖離している部分もあります。ご承知の通り、こうした乖離は機会とリスクの両方を生み出す可能性があり、「2024年の市場見通し:バランシング・アクト(綱渡り)」と合わせて、「2024年上半期 規制・政治の見通し」もご一読頂ければ幸いです。
詳細は下記から御確認いただけます。
https://www.invesco.com/jp/ja/insights/investment-outlook/2024-Outlook.html
【2024年の市場見通し:バランシング・アクト(綱渡り)】の要約は以下の通りです。
2022年から2023年にかけての急速な利上げにもかかわらず、多くの先進国経済は成長を続け、最近になってようやく弱含みの兆しが見え始めたところです。そして2024年には、国により結果は異なるとみられ、米国は政策的引き締めや与信条件の厳格化の影響に対して最も底堅いと思われますが、ユーロ圏や英国の成長は既に減退してきています。金融引き締め政策や消費者の伸び悩み、特異な成長ショックは、成長鈍化が当面、続く可能性を示唆しています。
2024年に向けて、世界経済はわずかに減速すると予想されており、同年前半には主要先進国の経済はバンピー(でこぼこした)な着地が予想されます。インフレが徐々に沈静化し、金融緩和政策に転じることで、減速は短縮が予想されます。今後、インフレが正常化するにつれて主要先進国の実質賃金の伸びが回復することで、トレンド成長への回帰が後押しされると予想しています。
当社チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジストのクリスティーナ・フーパーは 「金融政策当局による金融引き締めサイクルはもはや限界に達していると考えています。成長率が鈍化し、インフレ率が許容範囲の方向に動きつづけるにつれて、次のステップとしては、欧米先進国の主要中央銀行による緩和が、2024年前半の後期には表面化してくるでしょう。これによって回復が具体化し、世界経済は後半にはトレンド成長へ向かうとみています」と述べています。
一方、中国経済は著しく異なる状況にあり、2023年に新型コロナウイルス後の経済再開による楽観論が後退したあと、中国政府は経済成長の安定化を模索しています。2024年上半期の中国における成長率は低迷し、下半期には改善する可能性が高く、前年比実質成長率は4.3~4.7%程度を予想。中国の政策当局が成長率安定化のため、2024年に財政政策をわずかに拡大すると予想しています。
日本もまた、他の経済圏とは状況が大きく異なり、インフレ上昇がどこまで続くか大いに不確実性がみられることから、日本銀行(日銀)は大幅な引き締めは引き続き控えるだろうと予想しています。とはいえ、当市場見通しでは、日銀は2024年上半期にわずかな金融引き締めを開始する可能性が高く、さらに、世界の債券市場のボラティリティの過大な上昇からくるノックオン効果を防ぐために、イールドカーブ・コントロール政策を微調整するとみています。
クリスティーナは「欧米諸国とは対照的に、経済成長の安定化を模索する中国政府はすでに緩和モードに入っており、また日本では、日銀が緩和的な政策スタンスを維持しながらも、2024年に金融引き締めに踏み切る可能性があります。インフレ率が大幅に上昇するレフト・テール・リスクはわずかに残っており、日銀は市場の予想以上に大幅な金融引き締めを余儀なくされるかもしれません。そうなれば、世界の債券利回りは上昇し、日本円が円高に振れるリスクがあります」としています。
リスク選好度は改善、市場は下半期に回復する可能性
私たちのシナリオでは、市場が2024年下半期の回復を見据えていることから、リスク選好度は引き続き改善すると見込まれていますが、利下げ開始の時期については政策の不確実性が残り、年明け早々にはボラティリティが高まる可能性があり、長期の債券エクスポージャーへとつながるでしょう。
2024年、市場に対する主なリスクとして、地政学、コモディティショック、金融アクシデントが挙げられます。2022年のグローバル・パンデミック以降、リスクと不確実性は高まったままの状態で、ウクライナと中東の紛争は世界市場をはじめ、サプライ・チェーン、価格に大きな不確実性を及ぼしながら、消費と貿易に影響を与えており、依然として新たなコモディティ価格ショックの引き金となる可能性があります。
米国の国内政治も不透明で、財政の持続可能性に対する懸念が高まっており、政府機関がさらに閉鎖される可能性や、債務不履行の可能性さえあります。一方、多くの主要国で与信条件が急速に引き締められたことから、2023年上半期に見られたような、潜在する金融アクシデントへの懸念が高まっています。
世界経済における代替可能な道筋とは
私たちのシナリオでは、成長率とインフレ率のバランス、そして政府当局の反応に焦点を当てた2つのシナリオも考えられます。
下方シナリオとして、2つの要因のいずれかがハードランディングをもたらす可能性がありますが、要因のひとつは政策の誤り、または金融引き締めに拍車をかける持続的なインフレです。2023年からの政策的引き締めのラグが長期かつ可変的であるため、2024年には欧米先進国の経済が対応しきれなくなり、結果、成長率が大幅に低下することでディスインフレが加速する可能性があります。あるいは2つ目として、インフレがさらに続いた場合、政府は政策金利をより長くかつ高く維持する必要に迫られ、結果的に予想以上に大きな経済的影響がもたらされる可能性もあります。
上方シナリオとしては、米国における供給サイドのショックが解消するか、あるいはすでに解消しており、需要サイドの軽度の冷え込みがインフレの緩和を可能にするということになります。この ソフトランディングシナリオでは、米国はすでに景気サイクル半ばの減速期、あるいはその脱却過程にあり、コア・インフレ率は確実でスムーズに低下することで、FRBはより早期の緩和が可能になると予想されます。これは、ユーロ圏、日本、中国といった黒字国や、双子の赤字国である新興国にとってプラスに働く可能性があります。
クリスティーナは「投資への影響はどちらのハードランディング・シナリオでも同様ですが、政策の誤りによってハードランディングした場合、長期の債券や株式はより有利になるものの、インフレが続いた場合、これらの資産は市場平均を下回ることになるでしょう。逆にソフトランディングの場合は、中国やユーロ圏における全般的な成長率低下を相殺するのに役立ちます。このように不確実性の高い市場であるため、分散投資はこれまで同様に重要になるでしょう」と述べています。
選好される資産クラス
私たちの基本シナリオでは、2024年の年明けとともに世界のリスク選好度が高まると予想され、このような環境は株式に有利となると思われますが、金利の低下が見込まれることから、債券も良好なパフォーマンスを上げるでしょう。
株式市場では、米国以外の先進国株も魅力的ですが、新興国株に最大のポテンシャルがあると考えられます。2024年前半はバリュー株、シクリカル株、小型株がアウトパフォームする見込みです。セクター別では一般消費財とテクノロジー・セクターを選好し、特に一般消費財は景気循環と密接な相関があるうえに、消費者は低失業率の恩恵を受けていることから、景気回復はこのセクターにとってプラス要素になるでしょう。
債券市場では、景気減速への短期的な懸念と金利低下の見通しから、高格付け債を選好します。また、ロング・デュレーション債を選好し、イールドカーブの利回りを固定する魅力的なタイミングと考えます。市場はFRBの利下げと米ドル安を予想しており、これが新興市場における現地通貨建て債券を選好します。
その他の資産クラスとしては、相対的に高い利回り、金利の変動性、貸し手にとって有利な条件および保護条項から、ダイレクト・レンディングが魅力的です。商業用不動産融資は実物資産市場へのアクセス手段となる可能性もあり、金利上昇が不動産にプレッシャーをかけつづける可能性はあるものの、多様なセクターや市場に好調な部分がみられ、ファンダメンタルズは改善していると考えられます。最後に、地政学的リスクの高まりを考えると、金は優れたパフォーマンスを示す時期があるかもしれません。
詳細は下記リンク先からレポートをご覧ください。
https://www.invesco.com/content/dam/invesco/jp/ja/pdf/insights/investment-outlook/2024/2024InvestmentOutlook.pdf
【「2024年上半期 規制・政治の見通し】
米国、欧州、英国、アジア・太平洋の各国・地域における下記について最新の情報と分析を行っています。
政治の見通し:政治的変化の年
財政の見通し
地政学の見通し
政治と規制の見通し(人口知能・ファンドの流動性・ESG
詳細は下記リンク先からレポートをご覧ください。
https://www.invesco.com/content/dam/invesco/jp/ja/pdf/insights/investment-outlook/2024/Global_Policy_Outlook_1H_2024_JP.pdf
以上
インベスコについて
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インベスコ・アセット・マネジメント株式会社について
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、「素晴らしい投資体験を通じて、人々の人生をより豊かなものにする」ことを会社の存在意義として掲げ、グローバルな運用力を提供する世界有数の独立系資産運用会社インベスコの日本拠点です。インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、内外の公的年金・企業年金、事業法人、銀行や保険会社など機関投資家を対象に、株式や債券などの伝統的な投資戦略からオルタナティブなど非伝統的な投資戦略まで幅広い商品およびサービスを提供しています。また、銀行・証券会社・保険会社などを通じて個人投資家向けの投資信託およびサービスを提供しています。インベスコ・アセット・マネジメント株式会社に関する詳しい情報は、以下ウェブサイトで入手することができます。
https://www.invesco.com/jp/ja/individual-investor.html
その他の留意事項
当資料はインベスコ・アセット・マネジメント株式会社が海外の拠点が作成した資料の翻訳版を作成したことをお伝えすることのみを目的として作成したプレスリリースであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。当資料は信頼できる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の確実性あるいは完結性を表明するものではありません。
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