三井住友信託銀行株式会社のプレスリリース
【ポイント】
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全国の18歳~69歳の1万人を対象に公的年金額に対するイメージについて調査した結果を分析
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年齢が上がるにつれて公的年金額をイメージできている人の割合が増加
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公的年金額をイメージできている人の多くが、公的年金額を「想定より少ない/やや少ない」と認識する傾向
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FP相談等によって公的年金額を把握した人は、公的年金額の多寡を「想定通り」と認識する傾向
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ライフプランを立てている人は、公的年金額の多寡を「想定通り」と認識する傾向
ミライ研では、全国の18歳~69歳、1万人を対象に実施したアンケート調査をもとに、「公的年金額に対するイメージ」に着目した分析を行い、結果を公表しました。
1.年齢が上がるにつれて公的年金額をイメージできている人の割合が増加
公的年金の受給月額をイメージできている人の割合を年代別に確認すると、18~29歳では27.6%、30~39歳では34.8%、40~49歳では44.2%、50~59歳では56.3%、60~69歳では78.4%と、年齢が上がるにつれて増加します【図表1】。
【図表1】世帯で将来受給する公的年金のおおよその受給月額をイメージできているか
*すでに受給している方は現在の受給月額について回答
*表内年代は、アンケート回答時の年齢
*「できている」=「「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の試算などで、おおよそイメージできている」、「年金事務所に相談・確認して、おおよそイメージできている」、「FP(フィナンシャルプランナー)や金融機関など第三者に相談して、おおよそイメージできている」、「新聞やテレビ、インターネットの報道・ニュースなどで、世の中の平均的な年金受給額は理解している」のいずれか、「できていない」=「受給する年金の種類くらいはわかるが、金額まではイメージできない」、「金額もわからないし、受給する年金の種類もわからない」、「わからない、答えたくない」のいずれか
(出所)特に出所を示していない場合、三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)をもとにミライ研が作成
2.公的年金額をイメージできている人の多くが、公的年金額を「想定より少ない/やや少ない」と認識する傾向
受給額をイメージできている人に受給額の感想を尋ねたところ、金額が「想定よりも少なかった/やや少なかった」と感じる方の割合が高いことが分かりました【図表2】。
【図表2】公的年金受給額を把握したときの感想
*世帯で将来受給する公的年金について、おおよその受給月額をイメージできていると回答した人のみを集計
*5.0%未満はグラフ内の比率表記を省略
3.FP相談等によって公的年金額を把握した人は、公的年金額の多寡を「想定通り」と認識する傾向
受給額をイメージできている人について、把握手段別に受給額に対する感想が異なる傾向を示すことが分かりました。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の試算などで把握した人や、新聞・テレビなどの情報源から把握した人は、概ね「少ない」との感想に偏っています。一方、FPや金融機関などの第三者に相談して把握した人は、「金額は想定通りだった」との感想が最も多く、想定とのギャップが小さかったことがうかがえます【図表3】。
【図表3】公的年金受給額を把握したときの感想(手段別、複数回答可)
*世帯で将来受給する公的年金について、おおよその受給月額をイメージできていると回答した人のみを集計
*5.0%未満はグラフ内の比率表記を省略
「ねんきん定期便」や報道等の情報では、個々人が金額の多寡を判断しにくい可能性があります。一方、FPや金融機関などの専門家の助言を受けることで、公的年金に関する情報が正確かつ理解しやすい形で得られます。これにより、公的年金額に対する冷静な解釈ができるようになり、感想がより客観的に形成されるのではないかと考えられます。近年、金融リテラシーや金融経済教育が話題ですが、公的年金額を自分事として適切に把握し理解するには、専門家のサポートが重要であることが示唆されます。
4.ライフプランを立てている人は、公的年金額の多寡を「想定通り」と認識する傾向
図表4はライフプランを立てている度合い別に、公的年金額に対する感想を分析したものです。ライフプランを立てている人は、公的年金額に対して「想定通りだった」と答える割合が高く、ライフプランを立てている度合いが低くなるにしたがって、金額が「想定よりも少なかった」「何も思わなかった」と感じる割合が増加する傾向にあります【図表4】。
【図表4】公的年金受給額を把握したときの感想(ライフプランを立てている度合い別)
*世帯で将来受給する公的年金について、おおよその受給月額をイメージできていると回答した人のみを集計
*5.0%未満はグラフ内の比率表記を省略
(出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)と三井住友トラスト・資産のミライ研究所「金融リテラシー度とファイナンシャル ウェルビーイングに関する実態調査」(2023年)をクロス集計
ライフプランを立てることで、将来のライフスタイルや収支の計画が具体的になります。これにより、公的年金と現役期の収支や資産形成などとの調和が図られ、公的年金額への理解が深まるものと考えられます。公的年金の位置づけがクリアになると、想定とのギャップが縮小されるのではないかと考えられます。
まとめ
年齢が上がるにつれ、公的年金額をイメージできる人の割合が増加します。多くの人は「想定より少ない」との感想を持ちますが、FPや金融機関などに相談した人やライフプランを立てている人は公的年金額を「想定通り」と感じる傾向があることがわかりました。これは、公的年金額だけでなく他の収支や資産額も把握したうえで、ライフプラン・マネープランのなかでの公的年金の位置づけを客観的に想定できているためであろうと考えられます。11月30日は「年金の日」ですが、世の中的なトレンドに流されず、一人ひとりのライフプランやそれに応じたマネープラン策定のなかで、公的年金の位置づけを「想定」いただくことをお勧めします。
■上記の記事に加え、より多くのデータをまとめた資産のミライ研究所のアンケート調査結果
「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)より「公的年金額に対するイメージ」
を資産のミライ研究所のHP(https://mirai.smtb.jp/category/report/2038/)に掲載しています。
是非、ご覧ください。
■調査概要
(1)調査名:「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2023年)
(2)調査対象:全国の18~69歳 ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く
(3)調査方法:WEBアンケート調査
(4)調査時期:2023年1月
(5)サンプル数:11,190サンプル
■記事内容、アンケート結果に関する照会先
三井住友信託銀行 三井住友トラスト・資産のミライ研究所
E-MAIL:mirai@smtb.jp