中小企業経営者と事業承継予定者のアンコンシャスバイアスに関する意識調査

エヌエヌ生命保険株式会社のプレスリリース

生命保険を通じて日本の中小企業を応援するエヌエヌ生命保険株式会社(代表取締役社長:マリウス・ポペスク、本社:東京都渋谷区、以下「エヌエヌ生命」)と跡取り娘.com(代表理事:内山 統子、小林 博之、運営元:一般社団法人日本跡取り娘共育協会)は、中小企業経営者(※1)と事業承継予定者(※2)計411名を対象に、性別と肩書に関するアンコンシャスバイアスに関する意識調査をおこないました。

※1)本調査では、従業員300名未満の規模の「会社経営者(社長、会長、取締役)」、または「従業員のいる自営業者」を中小企業経営者と定義しています。

※2)本調査では、従業員300名未満の規模の会社を承継する予定の人を「事業承継予定者」と定義しています。

<調査結果まとめ>

  1. アンコンシャスバイアスについて「全く知らない」が46.0%、「言葉だけ聞いたことがある」が17.3%と、あわせておよそ3分の2(63.3%)がよく知らない結果に

  2. 直近1年でご自身に対するアンコンシャスバイアスに基づく言動があったかについて、「ある」と回答した人は58.9%。また「ある」との回答について、男性では57.6%、女性では59.8%となった

  3. アンコンシャスバイアスへの会社での取り組みについては「現状は取り組んでおらず、これから考え実践してみたい」が36.1%となった一方で、会社として対応することでどのような効果が得られるかについては、「ビジネスでの良好な関係構築」(43.3%)が最多となった

<調査結果についての見解>

跡取り娘.com 代表理事:内山 統子、小林 博之

本調査は、日本政府の「女性版骨太の方針2023(女性活躍・男女共同参画の重点方針2023)」において、女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取組として、「アンコンシャスバイアス」解消に向けた企業経営者におけるアクションが謳われている中で、アンコンシャスバイアスについて企業経営者、事業承継予定者自身がどのように感じているかを明らかにする調査として行いました。

今回の調査結果では、企業内・社会におけるアンコンシャスバイアスの状況についてアンケートを行うとともに、自身がアンコンシャスバイアスを感じる機会に遭遇したことがあるかについても確認がとれました。

その結果、アンコンシャスバイアスについては、まだまだ社会における認知が高まっておらず、その結果企業としても企業経営者としても十分に意識して取り組んでいるわけではない実態が明らかになりました。

女性経営者、事業承継予定者においては、自らが女性であることに起因した言動を受ける機会も少なくない実態も明らかになりました。

今後、「女性版骨太の方針」に合わせたさまざまな取り組みの実現を通じて、特に経営者における意識改革、企業内における取り組みの促進が求められる実態も明らかになりました。女性経営者・事業承継者が無意識の思い込みの影響を受ける事態を排除し、女性がいきいきと経営に臨める環境作りを行うことを通じて、日本社会の活力促進が求められており、その面からもアンコンシャスバイアスの課題に中小企業が誠実に取り組んでいく必要性が明確になりました。

当社広報部/一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 認定トレーナー:片山 雅生

日本の性別に拠る差別・格差の解消についてはWEF(世界経済フォーラム)が発表したジェンダー・ギャップ指数は146か国中125位と、改善の余地が多くあるところではないでしょうか。また金融庁の「政策オープンラボ」によると、起業家における女性経営者の比率は34.2%あるにも関わらず、新規上場企業に占める女性社長の比率は2%と低く、ベンチャーキャピタルや投資家は男性が多いことから、無意識に投資判断に性別がアンコンシャスバイアスとして含まれているケースも考えられます。

本調査で伺ったところ、中小企業経営者の回答においては、「聞いたこともなく、現状取り組んでおらず、今後取り組む予定はない」という回答が半数以上を占めました。しかしアンコンシャスバイアスについて「問題意識をもっている」との回答の高さや、具体的なアンコンシャスバイアスについてのエピソードをお聞きすると、内省されたコメントが確認できることから、必ずしも現状をよしとされていないように考えられます。アンコンシャスバイアスは「どこにでも・誰にでもある無意識の思い込み」です。今日、アンコンシャスバイアスという言葉をきっかけにして、一人ひとり、その時々に向き合うことを大切にしていくことが、今後ますます求められていくと考えています。

<調査結果詳細>

(1)アンコンシャスバイアスについて「全く知らない」が46.0%、「言葉だけ聞いたことがある」が17.3%と、あわせておよそ3分の2(63.3%)がよく知らない結果に

中小企業経営者と事業承継予定者411名に、アンコンシャスバイアスについて知っているか聞いたところ、「全く知らない」が46.0%、「言葉だけ聞いたことがある」が17.3%となり、あわせておよそ3分の2(63.3%)がよく知らない結果となりました。一方で、「言葉やその概要を説明できるくらい知っている」が14.1%、「言葉やその概要について聞いたことはある」が22.6%でした。

アンコンシャスバイアスについて「言葉やその概要を説明できるくらい知っている」「言葉やその概要について聞いたことはある」とした151名に対して、アンコンシャスバイアスへの問題意識はあるか聞いたところ、「問題意識をもっている」と回答した人は84.8%となり、アンコンシャスバイアスを知っている、聞いたことがある人は高い問題意識をもっていると言えそうです。

(2)直近1年でご自身に対するアンコンシャスバイアスに基づく言動があったかについて、「ある」と回答した人は58.9%。また「ある」との回答について、男性では57.6%、女性では59.8%となった

中小企業経営者と事業承継予定者411名のうち、アンコンシャスバイアスについて「言葉やその概要を説明できるくらい知っている」「言葉やその概要について聞いたことはある」と回答した151名を対象に、直近1年で、ご自身に対してアンコンシャスバイアスに基づく言動があったと感じたことがあるか聞いたところ、「ある」が58.9%、「ない」が41.1%となりました。

アンコンシャスバイアスについて「言葉やその概要を説明できるくらい知っている」「言葉やその概要について聞いたことはある」と回答した151名のうち、ご自身に対するアンコンシャスバイアスに基づく言動があったと回答した89名に、どのような話題の中で感じたのか聞いたところ、最多は「仕事内容、仕事のしかたに関する話題」(60.7%)、次いで「プライベートの過ごし方に関する話題」(43.8%)となりました。

男女別に回答を見ていくと、男性では最多が「仕事内容、仕事のしかたに関する話題」(64.7%)、次いで「プライベートの過ごし方に関する話題」(61.8%)となりました。一方女性では、最多が「仕事内容、仕事のしかたに関する話題」(58.2%)、次いで「家族に関する話題」(41.8%)となりました。どちらも「仕事内容、仕事のしかたに関する話題」が最多となったものの、男女でアンコンシャスバイアスに基づく言動であると感じる話題に違いが見られました。

また、女性の中小企業経営者と事業承継予定者を対象に、アンコンシャスバイアスに基づく言動の具体的なエピソードを聞いたところ、「社会では男性経営者が多いから、会社経営するには男性の方が有利と先代社長から言われた」や、「実家が資産家だから経営にも資金を投じられる」などが挙げられました。

一方、男性から聞かれた具体的なエピソードとしては、「女性に対してこういう表現を取ってしまった」「女性らしい対応を強く求めてしまった」など、女性への対応において自らしてしまった言動についてのエピソードが多く見られ、ご自身がアンコンシャスバイアスに基づいた言動を受けたというコメントは女性よりは少ない結果となりました。

アンコンシャスバイアスについて「言葉やその概要を説明できるくらい知っている」「言葉やその概要について聞いたことはある」と回答した151名のうち、ご自身に対するアンコンシャスバイアスに基づく言動があったと回答した89名を対象に、相談できる相手はいるか聞いたところ、最多は「配偶者・パートナー」(48.3%)、次いで「知人・友人」(42.7%)となりました。

また、アンコンシャスバイアスについて「言葉やその概要を説明できるくらい知っている」「言葉やその概要について聞いたことはある」と回答した151名のうち、ご自身に対するアンコンシャスバイアスに基づく言動があったと回答した89名に、アンコンシャスバイアスについて知り合いの中小企業経営者や事業承継予定者から聞いたことがあるか聞いたところ、「男性の中小企業経営者」が48.3%、「女性の中小企業経営者」が41.6%、「男性の事業承継予定者」が18.0%、「女性の事業承継予定者」が16.9%となりました。また、「聞いたことはない」は20.2%となりました。

(3)アンコンシャスバイアスへの会社での取り組みについては「現状は取り組んでおらず、これから考え実践してみたい」が36.1%となった一方で、会社として対応することでどのような効果が得られるかについては、「ビジネスでの良好な関係構築」(43.3%)が最多となった

中小企業経営者205名を対象に、アンコンシャスバイアスの解消・抑止に向けて経営上何か取り組んでいることはあるか聞いたところ、「現状は取り組んでおらず、これから考え実践してみたい」が36.1%、「具体的な施策を考え実践している」が9.3%となりました。

さらに「具体的な施策を考え実践している」、「現状は取り組んでおらず、これから考え実践してみたい」と回答した跡取り娘.com登録の中小企業経営者36名を対象に、取り組み内容を聞いたところ、「社内における研修、勉強会の開催」(52.8%)が最多となり、次いで「経営者からの訓示・講話」、「社外における研修、勉強会への参加」が同率(38.9%)となりました。

中小企業経営者と事業承継予定者411名に、アンコンシャスバイアスについて会社として対応することでご自身や周囲にとってどのような効果が得られると思うか聞いたところ、「ビジネスでの良好な関係構築」(43.3%)が最も多く、「働きがいのある職場の構築」(38.4%)、「働く意欲の向上」(32.8%)と続きました。

また男女別では、男性では最多が「具体的に思いつかない」(40.8%)となった一方、女性では「ビジネスでの良好な関係構築」(49.3%)が最多となりました。

女性の中小企業経営者と事業承継予定者を対象に、アンコンシャスバイアスに基づく言動をなくしていくために、政府や自治体などに期待することについて聞いたところ、「社会人だけでなく、義務教育の時からそのような考え方になるように教育活動を行ってほしい」や、「出産をしてもキャリアを続けられる仕組み(男性の育休や保育園、学童などのサービスの幅など)の充実、扶養制度の見直し」という声が挙がりました。

【調査概要】

調査対象:日本全国の中小企業経営者(※)と事業承継予定者

(※)従業員300名未満の規模の会社経営者(社長、会長、取締役)または従業員のいる自営業者

サンプル:中小企業経営者205名、事業承継予定者206名の計411名

うち、跡取り娘.com登録者

女性の中小企業経営者:47名

女性の事業承継予定者:17名

調査方法:インターネット調査

調査会社:株式会社マクロミル

実施時期:2023年9月14日~9月22日

(注)回答結果はパーセント表示を行っており、小数点以下第2位を四捨五入して算出しているため、各回答の合計が100%にならない場合があります。

【跡取り娘に向けた専門メディア 跡取り娘.com 概要】

一般社団法人日本跡取り娘共育協会が運営するサイトで、女性の事業承継がさらに進むように支援するため、女性経営者・後継予定者のコミュニティ活動、女性の事業承継にかかる現状の調査・分析や取り組み事例の情報発信、支援・育成のための普及活動等に取り組んでいます。

URL:https://atotorimusume.com/