PRI、責任投資のための国際的な年次カンファレンス「PRI in Person」、日本で初の開催

PRI Associationのプレスリリース

• 岸田総理、日本の公的年金基金7団体による責任投資原則への署名について言及
• PRIが経済移行戦略を発表
• 会議初日には、42カ国、700以上の組織から1,300人以上の代表者が参加

10月3日、責任投資を世界的に主導する「責任投資原則(以下、PRI)」の年次カンファレンス「PRI in Person」が、東京で開幕しました。

PRI CEOデービッド・アトキンは、「PRI in Person 2023」の来場者を歓迎し、次のように述べています。

「再びアジアで『PRI in Person』を開催できることを嬉しく思います。この地域には、東京やシンガポール、香港のような責任投資への深くコミットしている国際的な金融の中心都市および南アジアや東南アジアなどの新興経済圏が所在しており、計り知れない多様性が存在しています。アジアには、優れた才能を持つ人材と責任投資に関する多くの先駆事例があり、私たちはこの地域から学ぶことができると考えています」。

また、アトキンCEOは次のように述べました。

「今回のイベントに出席した参加者には、自分たちが歴史の正しい位置に立っているという確信を心に刻んで帰ってもらえることを望んでいます。それは、私たちの取り組みが、金融の世の繁栄を支える手段へ変化をもたらしているという確信。そして、その取り組みをインパクトのある行動に移すことで、受益者の役に立っているという確信です」

岸田文雄内閣総理大臣が基調講演を行い、 運用資産額90兆円(6,000億ドル)に上る日本の公金7団体が、「責任投資原則」に署名する準備を開始すると発表しました。

岸田総理は、次のように述べました。

「公的年金基金がサステナブルファイナンスへの取組みを強化し、その流れを市場全体に波及させていくことを目指します。トランジション・ファイナンスやインパクト投資を含め、課題解決と成長の両輪を進めるイノベーションへの支援と投資は、理念ではなく、実行段階にあります」

また、岸田総理は、次のようにサステナビリティの取り組みの重要性について次のように述べています。

「最後に、サステナビリティの取組みを促す金融機能の強化です。日本の2,100兆円を超える家計金融資産のうち、530兆円程度は、保険や年金として、大部分を資産運用業者やアセットオーナーが運用しています。また、公的年金を運用するGPIFの資産規模は約220兆円で世界最大規模となっています。

持続可能な社会の実現には、社会課題に応える企業に投資を振り向け、課題に応えない企業に必要な対応を求めることが大切です。

このため、個人の長期投資を預かる資産運用業者やアセットオーナーの運用力が重要です。これらの運用力向上やガバナンス改善、資産運用業への新規参入と競争の促進など、資産運用立国の実現に向けた政策プランを年内に策定します」

本日、PRIは「公正な経済移行:変化を促すために投資家、企業、政策立案者はどのように協働し変化を促しているか」というレポートを発表しました。本レポートは、公正な経済移行を可能にする投資家、規制当局、政策立案者、政府間組織、市民社会組織との12ヶ月にわたる広範なエンゲージメントに基づいて構成されています。

また、環境・社会課題に関して、数十年にわたる市場と政府の失敗を是正するための効果的な政策アプローチは、政府全体の責任となる必要があると結論づけています。本レポートは、持続可能で公正な経済移行とは何かを明確にし、そのような移行を進める政府を支援するためのハイレベルな枠組みを提示しています。

本レポートは、その他、次のような提言をしています:

  • 経済移行は、リーダーの共有の課題でなければならない

  • 経済移行を目指すリーダーには、行動計画とモニタリング部門が必要

  • 計画には、民間資本を誘致する対策が必要:政府は独自で進める資金を持たない

  • サステイビリティに関する課題は国境を問わないため、この計画には国際的な協力が必要

PRI in Personについて

PRI in Personは PRIの署名機関およびその他投資のプロフェッショナルが世界中の同じ立場の人たちと共に学び知識を交換し協働するプラットフォームを提供しています。責任投資に関する最新の傾向についての洞察を深める議論や討論だけでなく、大規模な交流の場として好評を得ています。今回のPRI in Person 2023では、投資業界その他から様々な専門家が登壇し、責任投資の慣行を紹介するとともに、ESGについての課題および世界的なトレンドが及ぼす影響について議論されます。

PRIについて

責任投資原則(PRI)は、責任投資を推進する世界有数の団体である。国連の支援を受け、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因の投資への影響を理解し、これらの要因を投資や所有の意思決定に組み入れる上で、署名投資家の国際的ネットワークを支援するために活動している。

PRIは、署名機関、署名機関が活動する金融市場と経済、そして最終的には環境と社会全体の長期的な利益のために行動する。2006年にニューヨークで発足したPRIは、現在では5,500以上の署名機関を擁し、121兆ドル以上の運用資産を管理するまでに成長した。