ソニー損害保険株式会社のプレスリリース
調査の背景
日本は世界でも有数の地震大国といわれています。2012年から2021年の間にマグニチュード6.0以上の地震が世界で1,391回発生しており、そのうち11.9%となる165回が日本の周辺で発生しています。地震の震源分布の地図を見ると地震が発生する場所と発生していない場所ははっきりと分かれているのが分かります。日本周辺には震源がたくさんあり、世界の中でも地震の発生が多い国であることがわかります(※1)。
2023年9月1日は関東大震災から100年の節目となります。大正12年(1923年)に発生した関東大震災はマグニチュード7.9、最大震度6、死者・行方不明者は105,000人余にものぼり、明治以降に起こった地震の中で最大規模の被害をもたらしました。
このたびは、全国の持ち家で火災保険に加入している1,000人を対象に、地震に関する防災意識や地震保険の加入状況の実態を調査。全国10エリアごとの防災に対する意識や傾向などを分析しました。
※1 気象庁「世界のマグニチュード 6 以上の震源分布」
https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen_db/pdf/2022/2-2-4.pdf
<調査結果サマリー> ①<全国エリア別防災意識ランキング>第1位は甲信越エリア、最下位は北海道エリア。北海道エリアは、地震保険の加入率も10エリア中9位と低い傾向。 ・地震対策の10項目を実践しているかを1項目1pt、10pt満点で調査し、全国の10エリア別で順位化した<全国エリア別防災意識ランキング>では、甲信越エリア(4.23pt)が最も防災意識が高く、最も防災意識が低かったのは北海道エリア(3.50pt)という結果に。 ・また、地震保険の加入率のエリア別ランキングでは、トップ3が「九州・沖縄エリア(61.0%)」「四国エリア(60.0%)」「東北エリア(59.0%)」であったのに対し、ワースト3は「近畿エリア(43.0%)」「北海道エリア(47.0%)」「北陸エリア(51.0%)」。北海道と北陸は<全国エリア別防災意識ランキング>と地震保険の加入率ともに低い傾向に。 ②地震対策で最も実践しているのは「災害が起きたときの避難場所や避難経路の確認」、一方で「避難訓練や防犯訓練の参加」は最下位。 地震に関する防災対策10項目を家庭で実践しているか聞いたところ、最も多かったのは、「災害が起きたときの避難場所や経路の確認」で約6割(58.2%)の人が実践していると回答。一方、最も少ない回答は「避難訓練や防災訓練の参加」で約2割(21.7%)の人しか行っていないことが判明。 ③最も恐れている自然災害として約6割が「地震・津波」と回答。次いで「豪雨・洪水・土砂災害」、「暴風・竜巻」という結果に。 ・最も恐れている自然災害について聞いたところ、全国で約6割(59.9%)の人が「地震・津波」と回答。次いで「豪雨・洪水・土砂災害(20.3%)」、「暴風・竜巻(7.1%)」という結果に。 ・エリア別で見ると、中国エリアでは「地震・津波」が47.0%、「豪雨・洪水・土砂災害」が41.0%となり、他エリアと比較して、地震や津波と同等に豪雨災害を恐れているエリアであることがわかった。 ④今後お住まいのエリアで大地震が発生する可能性があると思うか聞いたところ、東海エリアが最も高く、約8割の人が地震に対する危機意識を持っていることが判明。 ・お住まいのエリアで近い将来、大きな地震が発生する可能性があると思うか聞いたところ、そう思うと回答した人が最も多いエリアは、東海エリアで約8割(79.0%)となり、全国の64.7%という結果を大きく上回った。最も少なかったのは中国エリアで約半数(51.0%)という結果に。 ・文部科学省研究開発局地震・防災研究科が発表している「2020年から30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を示した地震動予測地図で危険エリアとされている太平洋側エリアの地震に対する危機意識が高いことから、こうした地震予測を受けた危機意識の高まりが推察される。 ⑤地震に備えた非常用品・備蓄品のランキングでは、「飲料水」、「懐中電灯」、「食料品」がトップ。一方、乳児に関する備えの意識は低い結果に。 ・地震に備えた非常用品・備蓄品について聞いたところ、ベスト5は1位「飲料水(64.9%)」、2位「懐中電灯(50.8%)」、3位「食料品(48.5%)」、4位「軍手(34.5%)」、5位「鍋や携帯コンロ(33.8%)」という結果に。 ・ワースト5は1位「粉ミルクと哺乳瓶(1.0%)」、2位「紙オムツ等(1.9%)」、3位「生理用品(5.7%)」、4位「防塵マスク(7.1%)」、5位「ロープ(9.8%)」という結果に。 ⑥2024年度を目処に火災保険が値上がりすることを知らない人は、約8割にものぼる結果に。さらに火災保険を定期的に見直している人は26.0%、火災保険の最新状況を把握していない人が多い実態が明らかに。 ・火災保険の見直しを定期的に行っていると回答した人は26.0%という結果に。エリア別で見ると、見直しを行っている人が最も多かったのは、東北エリア・甲信越エリアの32.0%であり、最下位は東海エリアの18.0%と、1位と最下位の差に約1.7倍の差があることが判明。 |
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%になりません。
ソニー損保 防災と地震保険に関する意識調査 調査結果詳細レポート
①<全国エリア別防災意識ランキング>第1位は甲信越エリア、最下位は北海道エリア。北海道エリアは、地震保険の加入率も10エリア中9位と低い傾向。
家庭での地震対策として10項目を設定し、それぞれの項目を1ptとして、各家庭ごとの実践度を10pt満点で調査しました。全国10エリア別でこの平均実践度を順位化した<全国エリア別防災意識ランキング>では、甲信越エリア(4.23pt)が最も防災意識が高く、最も防災意識が低かったのは北海道エリア(3.50pt)という結果になりました。
さらに、エリア別の地震保険加入率ランキングでは、トップ3が「九州・沖縄エリア(61.0%)」「四国エリア(60.0%)」「東北エリア(59.0%)」、ワースト3は「近畿エリア(43.0%)」「北海道エリア(47.0%)」「北陸エリア(51.0%)」となりました。北海道と北陸は<全国エリア別防災意識ランキング>と地震保険加入率ともに低い傾向になっています。
②地震対策で最も実践しているのは「災害が起きたときの避難場所や避難経路の確認」、一方で「避難訓練や防犯訓練の参加」は最下位。
<全国エリア別防災意識ランキング>で用いた家庭での地震対策の各項目について、各家庭でどの程度実践されているか全国平均を集計しました。最も多かったのは「災害が起きたときの避難場所や避難経路の確認」で約6割(58.2%)の人が実践していると回答。一方、最も少ない回答は「避難訓練や防災訓練の参加」で約2割(21.7%)の人しか実践していないことがわかりました。
内閣府では、災害の多くの場合は、その発生を予測することが不可能であり、そのため常日頃から実践的な防災訓練が不可欠だと啓発しています(※2)。避難場所、避難経路の確認ができていても、実際にそのとおりに避難ができるとは限りません。災害が起きたときの身の安全性を高めるためにも、積極的に避難訓練や防災訓練には参加することをおすすめします。
※2 内閣府 防災情報のページ「2−3 防災訓練」
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h17/bousai2005/html/honmon/hm120203.htm
③最も恐れている自然災害として約6割が「地震・津波」と回答。次いで「豪雨・洪水・土砂災害」、「暴風・竜巻」という結果に。
最も恐れている自然災害について聞いたところ、全国で約6割(59.9%)の人が「地震・津波」と回答し、次いで「豪雨・洪水・土砂災害(20.3%)」、「暴風・竜巻(7.1%)」という結果になりました。
エリア別で見ると、中国エリアでは「地震・津波」が47.0%、「豪雨・洪水・土砂災害」が41.0%となり、他のエリアと比較して、地震や津波と同等に豪雨災害を恐れているエリアであることがわかりました。これは、2018年に発生した記録時な豪雨(通称:平成30年7月豪雨)が影響していると推察されます。住家被害は全壊6,758棟、床上浸水8,567棟に及び、甚大な被害が発生しました(※3)。
その他、「大雪」を恐れている人は北海道エリア(19.0%)、北陸エリア(13.0%)となり、他のエリアと比較して高い数値となりました。その背景として北海道エリア、北陸エリアのほとんどが豪雪地域・特別豪雪地帯に属しており(※4)、雪による住家被害が身近に発生していることが要因と考えられます。また、九州・沖縄エリアは、台風の上陸や接近が多い影響を受け(※5)、「暴風・竜巻」を恐れている人が14.0%おり、エリア別の自然災害への危機意識が明らかとなりました。
※3 内閣府防災情報「平成30年7月豪雨の概要」https://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigai_dosyaworking/pdf/sankosiryo1.pdf
※4 内閣府「特集 大雪に備える」https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h24/69/special_01.html
※5 気象庁「過去の台風資料 ー 上陸数」https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/typhoon/statistics/ranking/landing.html
④お住まいのエリアで大地震が発生する可能性があると思うか聞いたところ、東海エリアが最も高く、約8割の人が地震への危機意識を持っていることが判明。
お住まいのエリアで近年大きな地震が発生する可能性があると思うかと聞いたところ、非常にそう思う、そう思うと回答した人が最も多いのは東海エリアで約8割(79.0%)となり、全国の64.7%を大きく上回りました。最も少なかったのは中国エリア(51.0%)という結果になりました。
またエリア別の傾向を見ると、東海エリア・関東エリア・東北エリア・四国エリアと、太平洋側エリアの危機意識が高い傾向が見受けられました。太平洋側のエリアは「2020年から30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(※6)」が他のエリアと比較すると高いとされています。そのため大地震に対する危機意識が高いと推察されます。
火災保険の補償内容や地震保険の加入状況を見直し、災害に備えるようにしましょう。
※6 地震調査研究推進本部事務局「全国地震動予測地図2020年版」
https://www.jishin.go.jp/main/chousa/20_yosokuchizu/yosokuchizu2020_mm.pdf
⑤地震に備えた非常用品・備蓄品のランキングトップ3は「飲料水」「懐中電灯」「食料品」。一方「乳幼児用品」や「生理用品」は備蓄率が低い結果に。
地震に備えた非常用品・備蓄品の準備状況について聞いたところ、回答が最も多かった非常用品・備蓄品は1位「飲料水(64.9%)」、2位「懐中電灯(50.8%)」、3位「食料品(48.5%)」、4位「軍手(34.5%)」、5位「鍋や携帯コンロ(33.8%)」という結果になりました。反対に回答が少なかったのは1位「粉ミルクと哺乳瓶(1.0%)」、2位「紙オムツ等(1.9%)」、3位「生理用品(5.7%)」、4位「防塵マスク(7.1%)」、5位「ロープ(9.8%)」という結果でした。
上位の品目は、災害対策の備蓄品として認知されていることもあり、準備している家庭が多いことが窺えます。一方「乳幼児用品」は、必ずしも全家庭で必要となるものではないためランキングでは下位となっていますが、お子様がいる家庭では重要な備蓄品となります。日常的に使用している物品のため備蓄品として見落としがちですが、万一の際に備え、準備しておくことが大切です。
⑥2024年度を目処に火災保険が値上がりすることを知らない人は、約8割にものぼる結果に。さらに火災保険を定期的に見直している人は26.0%、火災保険の最新情報を把握していない人が多い実態が明らかに。
火災保険の見直しを定期的に行っていると回答した人は26.0%という結果になりました。エリア別で見ると、見直しを行っている人が最も多かったのは東北エリア・甲信越エリアの32.0%で、最下位は東海エリアの18.0%と、1位と最下位で約1.7倍の差があることが判明しました。
また、2024年度を目処に火災保険料が値上がりすることを知らないと回答した人は79.3%、水災の料率が居住地区のリスクに応じて細分化されることを知らなかったと回答した人は85.9%と多くの人が火災保険の改定を把握していないことが調査を通じて明らかとなりました。
火災保険の料率は、近年の台風や豪雨などの自然災害増加に伴い、支払われる保険金が増えていることから値上げが続いています。これを機に、ぜひお住まいのエリアのリスクや、加入している火災保険の補償内容を確認して、火災保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
[調査概要:ソニー損保 火災保険に関する調査] 調査対象者:持ち家家庭で火災保険に加入している人 サンプル数:1,000名 調査方法:インターネット調査 調査期間:2023年7月26日〜7月27日 |
<ご参考:日本の地震と地震保険の歴史年表>
ソニー損保では2023年3月に、日本における地震と地震保険の歴史を振り返る歴史年表とレポートを公開しております(URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000063966.html)
1923年の関東大震災から100年という節目を迎えるにあたり、あらためてそれぞれのエリアで防災について考え、災害に備える機会として本レポートもぜひご活用ください。
※歴史年表は、右記URLからダウンロードいただけます。 https://bit.ly/3P764GB
注1:地震に関しては過去100年間に発生した日本を震源地とする地震のうち、M7.0以上かつ死者が発生・建物被害全半壊1,000棟/戸以上の地震を掲載しています。
注2:地震保険に関しては、過去100年間の法令・制度改正のうち、主要なものを抜粋して掲載しています。