アニコム損害保険株式会社のプレスリリース
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背景と目的
肥満は遺伝的、環境的、心理的要因に起因する世界的な健康問題であり、さまざまな健康障害と関連しています。そのため、肥満と関連疾患の予防に対する関心が高まっています。腸内細菌叢は肥満症において重要な役割を果たしており、治療のターゲットとなっています。研究チームはこれまでに、3-ヒドロキシ酪酸のポリエステルであるPHBが、腸内細菌により分解を受け、抗大腸炎作用を示すことを報告しています。ケトン体は脂質代謝の改善作用が報告されているため、本研究ではケトン体のポリエステルであるPHBを用いて肥満症に伴う脂質異常症が改善されるかを検討しました。
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結果と考察
PHBを混合した飼料を肥満マウスに投与した結果、皮下脂肪が減少し、血液中の中性脂肪とコレステロールの数値が低下しました。また、腸内細菌叢において酪酸菌などの有益な細菌が増加しました。さらに、肝臓における脂肪代謝の改善と酸化ストレスの抑制が観察されました。PHBは肥満に関連する腸内細菌の変化を調整し、脂質異常症を効果的に抑制することから、肥満関連疾患の治療に用いるサプリメントとしての可能性があることが示唆されました。すなわちPHBは有益な腸内細菌を増加させ、肥満関連脂質異常症の緩和をもたらすことが示されました。この研究成果は、肥満とその関連疾患の治療への新たなアプローチとなることが期待されます。
<掲載論文>
掲載誌:The FASEB Journal
論文リンク: https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1096/fj.202301191R
原題: Prebiotic effect of poly-D-3-hydroxybutyrate prevents dyslipidemia in obese mice
和訳: PHBはプレバイオティクス作用により肥満マウスの脂質異常症を改善する
責任著者:永根 大幹(獣医学部生化学研究室、ヒトと動物の共生科学センター)
<参考情報>
●麻布大学 獣医学部について
麻布大学は、2025年に学園創立135周年を迎えます。動物学分野の研究に重点を置く私立大学として、トップクラスの実績を基盤に新たな人材育成に積極的に取り組んでいます。
獣医学部には獣医学科と動物応用科学科が設置されています。獣医学科では、全国共通のモデル・コア・カリキュラムと参加型臨床実習に対応した獣医学教育はもちろんのこと、臨床教育に適した施設・設備を整備して充実した教育を実践しています。さらに、多くの研究室において動物に関して多様な研究活動を行っています。
・麻布大学獣医学部: https://www.azabu-u.ac.jp/academic_graduate/veterinary/
●ヒトと動物の共生科学センターについて
「ヒトと動物の共生科学センター」は、文部科学省・私立大学研究ブランディング事業「動物共生科学の創生による、ヒト健康社会の実現」の後継事業として位置づけ、麻布大学 附置生物科学総合研究所内の研究部門に、プロジェクト研究の発展型として本センターが立ち上がりました。研究を基軸として、それにかかわる学生の教育、そして社会とのつながりを深めることで、ヒトと動物・環境の新しい共生の形を探求し、実現することを目指します。
●アニコム先進医療研究所株式会社について
アニコム先進医療研究所株式会社は、2014年に設立されたどうぶつの医療分野における基礎研究の推進、先進医療の開発と研究を行う会社です。アニコムグループの強みを活かし、グループの保有するビックデータから得られる研究成果を、再生医療等を通じて病気に苦しむどうぶつに還元し、健康寿命を延ばすことで、どうぶつと飼い主の笑顔を創造することを目指しています。
・アニコム先進医療研究所株式会社:https://www.anicom-med.co.jp/
●日本ペットフード株式会社について
日本ペットフード株式会社は、1960年に国内初の国産ドッグフードを発売しました。企業理念として、私たちは心のふれあいを大切にし、ペットフードを通して家族とペットの生活に、憩いと潤いを提供します。ペットとその家族の一番の願いを受け止め、ペットの健康と長寿を追求するために努力を惜しまず、新たなペットフードの開発に積極的に取り組んでいます。
・日本ペットフード株式会社:https://www.npf.co.jp/