6月1日、大手7電力による料金改定後も、ご家庭の電気料金は、ほぼ全社でロシアによるウクライナ侵略前の水準を下回っています

経済産業省のプレスリリース

ロシアによるウクライナ侵略など世界情勢を背景とした国際的なエネルギー価格の高騰などを背景に、6月1日、大手電力7社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力)の電気料金(規制料金)の改定が適用されます。
これに伴い、規制料金プランでご契約の家庭では改定後の新料金が適用されますが、国の負担軽減策などの効果により、標準的なご家庭の電気料金は、ほぼすべての大手電力会社において、ロシアによるウクライナ侵略前の2022年2月時点の水準を下回ります。

1.背景

ロシアによるウクライナ侵略など世界情勢を背景としたエネルギー価格の高騰が、電気料金の上昇などの形で日本の経済社会に広く影響を与えています。大手電力7社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力)は、2022年11月から2023年1月にかけて電気の規制料金の改定を経済産業省に対して申請しました。経済産業省では、電力・ガス取引監視等委員会による16回にわたる専門会合での審査及び消費者庁への協議を経て、これを5月16日に認可しました。

これにより、規制料金プランで電気を契約されているご家庭では、6月の使用分から改定後の新料金が適用されることとなります。

※自由料金プランで電気を契約されているご家庭では、この規制料金改定の認可の影響を受けません。自由料金プランの契約による電気料金の価格改定については、ご契約の電力会社のウェブサイトなどをご確認ください。

2.規制料金の値上げによる影響

規制料金プランで電気を契約されているご家庭では、6月の使用分から値上げ改定後の新料金が適用されますが、国の電気代負担軽減策を含む(1)~(4)の効果により、標準的なご家庭の電気料金は、ほぼすべての大手電力会社において、ロシアによるウクライナ侵略前の2022年2月時点の水準を下回っています。

(1)値上げ申請に対する厳格な査定

経済産業省では、大手電力7社の規制料金改定申請に対して、

・直近の燃料価格などを踏まえた原価の再算定

・修繕費など固定的な費用について、最大で23%の費用削減を求める経営効率化

といった、前例にとらわれない極めて厳格な査定を行いました。その結果、査定後の標準的なご家庭における電気料金の値上げ率は、以下のとおりとなりました。

(2)電気・ガス激変緩和措置

家庭や企業などのエネルギー価格の負担軽減を目的とし、政府の補助により、電気や都市ガスの小売事業者などを通じて、電気・都市ガスの使用量に応じた料金の値引きを行っています。電気料金については、2023年1月使用分(2月請求分)以降、使用量1キロワットアワーあたり7円の値引きを行っており、標準世帯では月々2800円の負担軽減となっています。

※値引き額は、低圧契約のご家庭では1キロワットアワーあたり7円。高圧契約の企業などでは1キロワットアワーあたり3.5円。

(3)再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に基づく賦課金単価の低下

再エネ賦課金は、再エネ拡大のための費用を、再エネ特措法に基づき、そのメリットを受ける電気利用者の皆様に広くご負担いただく制度です。賦課金単価については、毎年度、当該年度の開始前に、再エネ特措法で定められた算定方法に則り、経済産業大臣が設定しています。

2023年度の賦課金単価については、足元のウクライナ危機による急激な市場価格の高騰により、再エネ電気の販売収入が増加すること等から、電気の使用量1キロワットアワーあたり1.40円となっています。これは、2022年度の3.45円と比べて2.05円低く、これにより、一般的な世帯では月々の電気料金の支払いが820円減少しています。

(4)燃料費調整

電気をつくるために必要な燃料(原油・LNG・石炭)の価格は、市場や為替などの外部要因により変動します。燃料費調整制度は、これらの価格変動に応じて電気料金を調整する仕組みです。足下では燃料輸入価格が下落傾向にあり、6月の使用分(7月請求分)の燃料費調整額は、規制料金の値上げ改定を行う7社においてマイナス調整となる見込みです。残り3社については、燃料費調整の上限に到達した状況が継続する見込みです。

これらの効果を加味し、大手電力10社について、それぞれ標準世帯の電気料金(6月使用分、7月請求分)を試算し、値上げ申請前やロシアによるウクライナ侵略前の水準と比較すると以下の表のとおりとなります。ほぼすべての大手電力会社において、ロシアによるウクライナ侵略前の2022年2月時点の水準を下回っています。

※1:申請前の価格は、レベニューキャップ制度の導入に伴う託送料金の改定影響を含まない数値。

※2:認可後の価格は、レベニューキャップ制度の導入に伴う託送料金の改定影響を加味した数値。

※3:認可後の価格は、財務省発表のCIF価格(4月輸入分の燃料価格の速報値)を用いた試算値。

※4:カッコ内の%は、申請前(2022年11月)からの変化率。

※3:沖縄電力の認可後の価格は、沖縄県で独自に実施している負担軽減策「沖縄電気料金高騰緊急対策事業」の効果を含む。

<関連リンク>

電気・ガス価格激変緩和措置特設ウェブサイト

https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/

固定価格買取制度(FIT)の概要

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html