ステーブルコインによるデジタル証券のクロスチェーン決済に関する技術検証の成功について

三菱UFJ信託銀行株式会社のプレスリリース

三菱UFJ信託銀行株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:長島 巌、以下、三菱UFJ信託銀行)と株式会社Datachain(本社:東京都港区、代表取締役:久田 哲史、以下、Datachain)は、2022年9月に発表した「ステーブルコインによるデジタル証券のクロスチェーン決済の商用化」に向けた技術提携(*1)や、2023年3月に発表した「ステーブルコイン間の滑らかな相互移転・交換の実現」に向けた技術提携(*2)を行ってまいりましたが、このたび「デジタル証券のクロスチェーン決済」における第1ステップである技術検証に成功いたしました。

 今回の技術検証では、ステーブルコイン発行管理基盤「Progmat Coin」のブロックチェーン層の1つであるCordaと、「Progmat」以外のデジタル証券を扱うブロックチェーン基盤を想定したGoQuorumを相互接続し、両ブロックチェーン上のトークンの同時移転を実現しました。

 「Progmat Coin」基盤を用いたクロスチェーンの取り組みとしては、ステーブルコインとデジタル証券のDVP(Delivery Versus Payment)決済、ステーブルコイン同士あるいはステーブルコインと地域デジタル通貨等のPVP(Payment Versus Payment)決済の双方がありますが、本件は前者のDVP決済に関する取り組みです。

 法規制に準拠するステーブルコインによるデジタル証券のブロックチェーンを跨いだ決済(クロスチェーン決済)は、グローバルでも最先端の取り組みとなっています。

1.DVP決済に係る技術検証の概要

 本検証では、主に以下の2点を検証しました。

 ・拡張性の高いトラストレスなブロックチェーン間相互検証

 ・異なるブロックチェーン基盤上におけるトークンの同時移転

 技術検証の結果、CordaとGoQuorumという異なるブロックチェーン基盤間で、高い拡張性とトラストレスな構造を有した上で、それぞれのブロックチェーン上のステーブルコインとデジタル証券の同時移転が可能であることが確認されました。

 なお、今回の技術検証では、ブロックチェーン間の通信プロトコルであるIBC(*4)や、安全性に加えて効率性・拡張性に優れたブロックチェーン間の相互接続を可能にするミドルウェアLCPを用いました。

 技術検証の詳細については、以下リンク先の解説をご覧ください。

 ・詳細解説:https://medium.com/@datachain_jp/cross-chain-digital-securities-settlement-with-stablecoin-e9407c6a8c79

2.技術検証内容の公開

 今回の検証では、様々なケースを想定し検証を実施しましたが、正常系シナリオに係るデモ動画について、以下のとおり公開いたします。

 ・ デモ動画:https://youtu.be/cKh6PiJnbEI

 今回のデモコードついても、ご要望に応じて公開も検討いたします。ご希望の方は以下の連絡先までご連絡ください。

 ・連絡先:progmat_post@tr.mufg.jp

3.今後の予定

「Progmat Coin」基盤を用いた各種ステーブルコインは、2023年の改正資金決済法施行を踏まえ、取り扱う仲介業者がライセンス登録を完了し次第、発行・流通が可能になる予定です。

今回の技術検証では、ブロックチェーン基盤の1つとしてCordaを採用しており、Cordaの開発元である米国のR3 HoldCo LLC(以下、R3)の協力のもとで実施いたしました。R3は、CordaとEthereumやEVM互換性のあるブロックチェーンとの相互運用性を、最も重要なアジェンダの1つとしており、今後も同領域での連携を協議しております。

三菱UFJ信託銀行とDatachainは、R3や関連する証券会社等とも連携を深めながら、2024年の商用化に向けて、引き続き本取り組みを推進してまいります。

                                               以 上

*1 2022年9月の技術提携について:https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/220929_1.pdf

*2 2023年3月の技術提携について:https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/230328_1.pdf

*3 IBC:Inter-blockchain communicationの略称。Interchain FoundationおよびCosmosプロジェクトによって策定が進んでいる、ブロックチェーン同士の相互運用性を担保するための仕様標準。

◆「Progmat(プログマ)」について

Webサイトを公開しておりますので、以下URLからご覧ください。

<https://www.tr.mufg.jp/progmat/>